①兄夫婦に精神病院に入院させられた父の話し。シリーズ開始です!
母が亡くなってからの父は本当に見ていられないくらい痛々しかった。母が亡くなる前の父はとてもワンマンでワガママで、キレるは怒鳴るはの昭和の頑固親父そのもので、正直好きとは言えなかった。
でも、母を亡くして寂しさに身もだえている父は別人のように弱っていった。
私は、東京から熊本にいる父の元に出来る限り出向いて父との時間を過ごすようにしていた。
でも、段々と私が父の元へ行く時は、父の側に住んでいる兄夫婦の許可が必要になり、施設にいる父を外出させる時も、あれこれうるさく言うようになってきていた。
そしてある日、
兄夫婦は、
父を施設から精神病院に入院させた。
でもこの時は、眠れなくて睡眠薬を飲み過ぎてしまった父に、薬などの調節をして精神的に落ち着かせる為だからすぐに退院できると聞いていた。そして、この時は兄を信じていたので「それなら仕方ない」と私も承諾していた。
でも、その年の年末年始に近いある日、兄嫁が私に言った。「今度の正月は帰ってこなくていいですよ。私達がお父さんのお世話をしますから。」って。
それなら、せめて父に贈り物をしよう!と、声を録音できるクマのぬいぐるみに、私と息子のメッセージを録音して兄に送り「父に渡して欲しい」と頼んだ。
◆メッセーを添えて。
当時の写真が残っていました。↓
すると兄が「今は治療の妨げになるから渡せない」と言ってきた。
今まで兄を信じ従ってきた私だったが、この発言には物凄い違和感を感じた。なんで???
私と息子からの贈り物を渡すことが
治療の妨げ??? どうゆうこと?
何かおかしいと感じた私は、父が入院している病棟へ電話をして、看護師長に事情を聞いてみた。そして、驚くべき真実を知ることになったのだ。
看護師長は、「絶対にお兄さんには言わないでくださいね」と前置きをして
「本当はお父さんは精神病院に入院する必要はない人なんですよ。お兄さん夫婦に無理に入院を頼まれて私達も困惑してるんです。」と言った。
私が聞いてた話と全然違う。愕然とした。
私は、その話を聞いて胸騒ぎを覚え、直ぐに、父が入院している熊本の病院に向かった。兄夫婦にはメールを送り、帰ることだけ伝えた。直ぐに電話が来たけど「来なくていい」と言われることは分かっていたので出なかった。飛行機の中で、病院へ向かう車の中で、どんどん私の兄への不信感は膨らんでいく。
病院に着いて父の病室に走ると、父は、何一つ物が置かれていない壁だけに囲まれた無機質な病室のベットの上で横たわっていた。
父の姿にも驚いたけど、
精神病院の病室にも衝撃を受けた。
数ヶ月前に見た父の面影もないくらい痩せ細り(3ヶ月で20kg以上体重は落ちていた)、皮膚は象のように荒れていて、見るに耐えない姿。兄夫婦にも病院にも完全に放置されていたことがうかがえる。
父は私の姿を見て驚いた。きっと誰も来てくれないと諦めていたんだと思う。その父を病院の屋上に連れ出して「ごめんね、早く来てあげられなくて」と謝りながら涙がこぼれてきた。父は完全に生気がなくなっていて、今にも消え入りそうな声で「元気にしてたか?仕事はうまくいってるか?」と聞いてくる。
自分は瀕死の状態なのに私の心配をしている父に、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
兄夫婦の話を信じ、来なくていいと言われ、その言葉に従おうとしていた自分を責めた。父は、田舎ながらも会社を経営しており、兄はその会社で働いている。
兄は、ある程度の地位に付いてはいたが、父が過半数以上の株を所有していてトップの座を保持していた。だから、
父が邪魔だったのだ。
兄は1日でも早く父をお払い箱にして自分がトップの座に付きたかったんだ。だから、精神病院に入院させ私と孫である息子を遠ざけた。
父が私や孫に会うと元気になるから会わせたくなかったんだ。声が録音されたぬいぐるみやメッセージカードを渡して、父が喜び元気になることを恐れていたから、渡してくれなかったんだ。この時、今までの事が点と線でつながって全てを理解した私。
この後、最終的にお互い弁護士を立てて兄と戦うことになるのだが、その時に、兄が父の承諾を得ず、勝手に自分を会社の代表に登記していたことを弁護士さんの調査で知らされた。
これって文書偽造なんです。
自分の欲望の為に、親を精神病院に入れてまで弱らせ犯罪まがいのことまでするなんて・・・
ここから、テレビドラマのような展開が始まった。全ては実際に起こった話しです。
続きは次の章へ。
◆2017年の日記
これまでの話しはこちら↓