読みたい気持ちを諦めない~私の読書法~
ご覧いただき、ありがとうございます。
本を読んでいて、ふと思いついたので
弱視の私がどんな風に読書を楽しんでいるか書いてみたいと思います。
「弱視」と言っても、見え方は人それぞれですが
私の場合は、学生時代は、新聞の文字も近づければかろうじて読めました。
今はそれは難しくなってしまいましたが
ルーペ(虫めがねみたいな物)を使えば
ある程度の文字は読むことができます。
ただ、いわゆる普通の文字(墨字)を「読める」と言っても
お知らせのような紙を1枚「読む」のと
本をまるまる1冊「読む」のとでは、疲労感がまったく異なります。
また、本を1冊、目で読もうと思うと
見える人が数時間で読み終わる本でも
下手をすると1カ月とかかかることがあります。
(目が疲れるので、長時間読み続けるのが難しいです)
ちなみに、中学生の時だったか
ハリーポッターを1冊読むのに、3カ月かかった私です(苦笑)
本が嫌いとかではなく、むしろ読書が趣味なんですけどね。。。
そんな私が今現在、どんな方法で読書を楽しんでいるか、書いてみます。
①活字(墨字)の本をルーペで読む
疲れるし、時間もかかるので
ルーペでの読書はあまり好きではありませんが
他の手段がない場合、やむを得ず目で読むこともあります。
今、資格取得のために勉強しているのですが
そのテキストなどは頑張って目で読んでいます。
(恐ろしく時間がかかり、なかなかはかどりません……)
②大活字本
一般の文庫本の文字サイズは9~10ポイントくらいですが
大きな文字で書かれた本があります。
文字サイズはさまざまですが
20~22ポイントくらいあると
ルーペがなくても、サラサラ読むことができます。
高価ですし
1冊の文庫本が3分冊とかになってしまって場所を取るので
図書館で借りて読んでいます。
作品の数があまり多くないのが残念なところ。
③録音図書
最近はもっぱら耳で聞いて読書していることが多いです。
一般の方向けだとオーディオブックというのがありますが
あれは声優さんや俳優さんが読まれていて有料なことが多いのかな?
視覚障害者向けの録音図書は
全国のボランティアさんが朗読してくださったモノを
データでダウンロードして無料で読む(聞く)ことができます。
完成までに時間がかかる場合もありますが
最近は、人気の本などはそこまで待たずに入手することができます。
新幹線や飛行機など、長距離移動の時の必需品です。
④対面朗読
読みたい本が録音図書になっていない場合
かつ、自分で読むのは大変だなと感じる場合には
図書館の対面朗読のサービスを利用することもあります。
自分で購入した本や図書館にある本を
ボランティアの方が対面で読んでくださいます。
予約は必要ですが、すぐに読みたい本がある場合には
このサービスを利用するのが1番早いかもしれません。
⑤点字
視覚障害者と言えば「点字」と思われるかもしれませんが
点字が読める視覚障害者は全体の1割と言われています。
私もネイティブの点字ユーザーではありません。
でも、読めた方が便利かなと思い
数年前から勉強しています。
指先の感覚で読むのはなかなかハードで
いまだに読書を楽しめるほどスラスラは読めません。
ただ、区の広報誌は点字で読むことにしています。
というのも、広報誌は、書いてある内容や形式が決まっているので
読みやすいし、興味のあるトピックスだけ読めばいいので
点字初心者にはちょうどいいのではないかと個人的には思っています。
もちろん点字で好きな本が読めるようになったら
夢のようだなとは思いますが
とりあえず、最低限必要な情報が入手できれば
上出来かなと思っています。
いつか、墨字も点字も読める「バイリンガル」なんです!
なんて言えるようになりたいものです(笑)
拡大読書器で読むとか、電子書籍を利用するとか
他にも方法はありますが
私が使う読書法はこの5つくらいです。
読書に限ったことではありませんが
選択肢があるというのはとてもぜいたくなことですよね。
今日は元気だから目で読もう!とか
ちょっと耳が疲れているから点字にしようとか
その時々の状況に合わせて、方法も変えられると
「読みたい」気持ちを諦めなくていいですよね。
障害があると、どうしてもできないこともありますし
諦めなくてはいけないことも日々たくさんあります。
そんな中で、自分で「選べる」ということ
それって生きていく上でとても大事なことだと思います。
自信にもつながるし、自己肯定感も高まります。
普通の文字(墨字)で書かれた本を自力で読むのがベストなのか?
そうではないと思います。
対面朗読でボランティアさんに読んでもらってもいいし
音訳や点訳をしてもらった資料を読むのだって立派な読書です。
自分が読みたい本を、読みたい時に、読みたいように読める。
それが理想の形なのではないかと思っています。
「選べることはぜいたくだ」と書きましたが
すべての人に「知る」権利があり、「読む」権利があります。
芥川賞作家の市川沙央さんも
読書バリアフリーについて熱く語っておられます。
当たり前のことが当たり前じゃない現状。
現状では、ボランティアさん頼みな部分もまだまだありますが
電子化であったり、テキストデータの提供であったり
すべての本を、誰もが自由に読めるように
環境整備が進むことを願ってやみません。
自分の目だけで読んでいたら
入ってくる情報はほんのわずかです。
でも、ボランティアさんの助けを借りたり
さまざまな手段を駆使して本を読むことで
私の世界は格段に広がっています。
感謝の気持ちを大切にしながら
これからも手段を問わず、読書を楽しみたいと思っています。