人間って、案外カンタンには死なないんだな~毎日エンジョイ編~
ホームにただいま!
外科での入院が1か月近く経った頃に、やっと内科への転科が決まった。これでやっと、ホームへ帰れると思ったが、私が内科に入院中に担当だった看護師さんは、配置転換で外科に移ってしまった。
車椅子でホームの病棟に下りた時は、懐かしい顔ぶれに、泣きそうにもなってしまった。
内科に移動しても、外科回診は変わらずに、毎朝傷口からの膿の洗浄と、抜糸は終わっていない。
私だけ毎朝、リウマチ科の先生達の回診と、外科回診だけがある。
同じ部屋の人に申し訳なく思いながら、毎朝の外科回診で大号泣して、看護師さんに慰めてもらう毎日だった。
病気は快方に向かっているのは確か
術後の回復のために、ステロイドも徐々に減っていった。
ステロイドの厄介なところは、急に止める事が出来ないまま、副作用も多いし、ステロイドを減量するとリバウンドが来てしまう。
ステロイド離脱症候群とも呼ばれるリバウンドは、人によって症状も変わってくるが、私の場合は身体のダルさと眠気、色んな所が痛くなって、泥の様に眠ってしまう。
傷口の治りが悪いのと、他の細菌感染症のリスクも考えて、外科と内科の主治医で話し合って、結構早いスパンで減量して、やっと30ミリまで減った。
いつも、これからが勝負時だとは、今までの経験からも分かっていたが、採血では炎症を示す数値が、いつまでも正常に戻らない。
それが、主治医も頭が痛い事ではなかったのではないかと思う。
でも今は、傷口を治すのが先決だと言うのが、共通認識なのは確かだった。
グッバイ車椅子!
内科に移動してからは、自分で自力で歩ける様に、午前中の作業療法と、午後からの理学療法でリハビリをしながら、徒歩で病院内の行動制限もなくなった。
今までお世話になった車椅子も歩行器も、使わなくて良くなったのは、私にとって大きな進歩でもあった。
自由にコンビニにも行けるし、コーヒーショップにも行けるし、携帯電話コーナーに行って、家族に電話を掛ける事も出来る。
その代わりに、点滴棒を頼りにしての移動となる。
食事の制限もなくなって、朝にコンビニでコーヒーを買うのが楽しみだった。
他にも読みたい本を買ったり、付録目当てで雑誌を買ったりするのも楽しかった。
朝起きたら洗顔して歯を磨いて、コンビニのブラックコーヒーを飲むのが、入院中のモーニングルーティンとなっていた。100円のコーヒーがちょうど良い。
ブラックコーヒーを飲みながら、朝のニュース番組を観ながら、朝ご飯の配膳を待つ。
朝にブラックコーヒーを飲む事で、『今日1日、頑張ろう!』と、自己暗示をかける。
これで外科回診の痛みとも、どんな検査も大量の点滴も耐えられる気がしていた。
退院後の漠然とした不安や焦りは、看護師さんが日中に話を聴いてくれて、大体のビジョンも見えて来たのだった。
特に担当の看護師さんが、毎日の様に来てくれては、『大きい目標や設定は立てずに、目の前の小さな事から片付けていけばいい』と、有り難いアドバイスを貰った。
私もその通りだと思った。
ここから先は、自分との闘いでもあり、その結果を求めるのは野暮だ。