ユメモ
真夜中に見た夢は感覚付きの切ない夢だった。
最近、私をフォローしてくれた方もチラホラいるので一つ言っておきたいのだが
私はアロマンティック傾向である。
断言するほどアロマンティックの性質ではないと思っているが、平均値よりずっと恋心がわからない人生を歩んでいる。
そんな私は夢の中では恋をするらしい。
いや、あれを恋と呼ぶのは少し違う。
これは、とにかくせつなかった夢のメモだ。
私は海の見えるホテルのスタッフとして働いていた。
現実の仕事仲間の他、夢限定の仕事仲間を加え、賑やかで楽しい職場であった。
ホテル長といえばいいのだろうか、私達の上司は金髪がクリクリとした外国の方で、カタコト日本語みたいな癖のある日本語で場を盛り上げていた。
花火大会が近く、その準備に追われていた。
「花火大会の日はワザと仕事にしてもらってるんです〜」
と私に話したmihoは肌が白くて泣きぼくろがある可愛い子だった。
「え?!なんで?!」
「ここ(ホテル)から花火よく見えるんですよ〜。わざわざ人混み行くよりずっといいです〜」
とのことで、私は私が見に行くスポットを話した。
「そこは観光客だらけじゃないですかー」
たしかに。
でも、ホテルの外には少しせり出したところに別のホテルが建っている。
その物陰になるのでは?と思うが、どうやら上手くズレているらしい。オレンジのライトに照らされるホテルロビーから、真っ暗な海を見る。
そうこうしていると、上がりの時間だ。
何故か夫もいた気がするのだが、気がついたらいなかった。
そこで一通メールがきた。
「今、〇〇パーク来てます。」
〇〇パークは現実で私の家の近くにある場所。
因みに私の家の近くに海はないので、現実と夢のハイブリッド世界観。
私は近さにびっくりした。
そのメールの送り主と、私の物理的距離の近さ。
その人は私が好きな実況主(となってたが、姿や声、性格は多分夢限定というか…他の誰か)
現実の方で一人、疎遠になってしまった人が居てその人の事は人間的に好きなので、そのノリと同じだった。
要は推しが近くに来た。
私は大興奮を隠しつつメールした。
「えー近っ。職場のホテルそっから近いんだけど」
なんと彼はここに来るといった。
どうやって彼と初めましてと挨拶したかは夢になかった。
もうすでに席についている彼の隣を陣取ってマシンガントークをかましている私だった。
彼のこと、私のこと、本のこと、楽しいこと、
途切れることのない会話がそこにあった。
そこには変な甘さがなくて、ただ、ただ子供がじゃれ合うみたいに戯れていた。
右手と右手、左手と左手を恋人繋ぎして、横に広げて歩きにくいとケタケタ笑いながら歩いたりした。カタカタ動くの面白かったの。(因みにこのとき私が後ろで彼の腕を動かして遊んでいた。体制的に背中に顔がつく。背中の感触があった。感覚付きの夢だから)
彼に言いたかった暴言もいった。
「そう、ずっといいたかった!!ばかなの!?って。(あなたは)バカじゃないんだけど、ばかなの!?って」
それは、どこか無理してることへの、そんな無理はしなくていいのにという私なりの心配の言葉だった。彼は
「本当に、大変だったんだよ」
と答えた。
その声音は優しくて、私はとりあえず黙って話を聞いた。
「俺、本当はさ失敗してる回数も多くて、だから、実際の年齢は違うんだよね」
彼が大学生だった頃の話らしい。そのころ実況主をしてたから。
あれ?え、じゃぁ
「え、まって、じゃ何歳なの?」
「えーと、あの時10回目で、プラスしてもらって」
「えーーーっ!!まって!!じゃぁ、年下じゃなくて私の一個上じゃん!!」
なんだか年齢が近いことが嬉しかった。
そういう私の顔を彼はのぞきこんだ。
私は至近距離で顔面を見られるのはハズカシイ。
だって、ほぼスッピンなわけだし、職場の他の白い子に比べてソバカスはあるし。
「えー1個下なの?」
「ちょっと、みないでやめてやめて!」
ガードする私の腕をみて
「腕も白くてかわいいね」
といった。
意味分かんないけど、無駄に壮絶に照れた。
冗談も出ない。
「かわいくない、かわいくない!」
「えー?かわいいよ?かわいいね」
職場の人も行き交うので、かなり呆れられている(だって私は既婚者なわけだから)空気はあるが、もう、何も止められない。
そういう戯れあいが永遠に続きそうだった。
しかし、緊急地震速報みたいな音が聴こえた。
え?ここで?地震?そんな、この人が巻き込まれる…と思ったが、地震並みの振動と緊急地震速報みたいな音に聴こえるほどの大雨が窓ガラスを打っていた。
「あちゃーまじかー」
彼はいった。
そうだ。かえれない。
私も。
ホテルに閉じ込められた。
不思議な感覚だった。
何も考えていなくて、ただ事実だけ淡々としていた。
何故か当たり前のように彼と部屋に入った。
そこは私が仮眠に使ってる和室。
そして彼は全裸で寝るんだと実況でいってた事を思い出す。
さも当たり前のように脱ぎ始める。
普通なら引くとか、なんか変な気持ちになるとかあるんだろうけど、当たり前のように受け入れた。
私は服着たままだし、あっちは全裸。
そして
「私、当たり前のように布団一緒でも気にせんけどいいかね?」とか聞いた。
彼は「いいんじゃない?」と答えた。
小さな友達同士の頃って、全裸はなくとも同じ布団にダンジョ眠ることあったと思う。
そういう感じ。当たり前のこと。
でも、それを職場の女の子に見つかって流石に叱られた。
そっかぁ。駄目か。
私は彼に「雨の中濡れて帰らせてごめん」と謝った。
帰したくない。たった数時間のこと。変なことはお互いにしていない。なんで邪魔されるの?
と私は思った。
彼は優しい顔のままだった。
女の子は泣きたいときは泣いておきなと言い残して去った。
涙は出なかった。
言葉も出なかった。
雨の音がすこしする。
ほんのり明るい程度の和室。
キスをした。
感覚がある。
大人なそれではなく
まるで不慣れな幼稚園児みたいなキスで
『この人唇やわらかっ!』が私の感想。
そう、リアルな感覚があった。
そして、彼を電車?か何かで見送る。
彼が降りるとき、というか電車の車両が消えて彼が線路に残るみたいな形?の時
彼は
「また、名前変えてもみつけあいましょう」
といった。
ネットの知り合いだから。
でも、私はずるいことを言った。
「また、会いに来てくれますか?」
たぶん、現実の私なら言わない。
恋愛感情の薄い私の知らない感覚が渦巻いていた。
私はこの人のことが好きなんだと自覚した。
彼は凄く悩んだ顔した。
でもその後、私をじっと見て
「会いに来る。愛しています」
と私の手の甲にキスをした。
現実の私なら鳥肌もので、コイツ嫌いとなりかねないセリフと行動だったけど
夢の中の私はひたすら切なかった。ただ、もう一度あいたいと思った。
時間を巻き戻して、彼と先に会う世界線ならいいと思った。
ただ隣にいたいと思った。
その後、路面電車はおかしな路地裏にはいり、私は無免許運転をして帰宅した。
家には夫がいて猫の相手をしていた。
夫への感想は何時も通りの巣穴で、これが現実なんだと私は思った。
そうして目が覚めた。
起きた瞬間切なかった。
夢かぁ………………と。
あの人は誰なんだろうか。
と。
別の夢もみてたが、それは猫がたくさんいて、その中の何かがまずくてヤバイ(霊的に)
ものだったなぁ。ライオンとかいたなぁ。
私は夢の中の私に
「この世界線じゃ駄目だから、また別の世界線で会えるように頑張ろ」
と小さくエールを送った。
もし、あれが恋心だというなら
そら、映画にも小説にもなるわなぁと
なんだか深く体感したのだった。