砂の島

砂の島で相変わらず
私は夢の海を眺め続けている。

『また来るよ』

という言葉は優しい。
でも、きっと来ない事もよく知っている。

人は前を向く生き物。
そうだといいと願っているから。

疲れ果てないかぎり
夢の大陸に手が届く。

あなたは踏みしめるだろう。

だから此処には来ない。

私は通過地点。
此処は途中。


物わかりがいいのを
少し悔しく思う。
けれど
そのほうがずっといいの。


私を連れ出そうとした人も
過去にはいた。
それはとても
愚かなこと。

たとえどんなに光り輝いていても
それは
愚かなこと。

泳ぐときは
誰も自分の命だけ。

目の前の海は
そういう海。


身体が冷たくて
なのに心は燃え
何もかも苦しくなって
流れ着く。

砂しかない。
この島。

何もない。
何もないからいいの。

空っぽにして。
ただ
空想して遊ぶ。

そのうち
物足りなくなるのよ。
だって
夢の海を渡ろうと
あなたは泳いできたのだから。


おいでともいわない。
ひきとめもしない。


私はただ此処に在る。


何時だってそうだったし
これからだってそう。



まだ知らない
あなたが
夢の海を渡りきれますように。



サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。