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過去の短い1場面物語「途中」。
それは楽園と呼ぶには小さく、しかし確かに楽園と呼びたくなるような清々しい空気を纏っていた。
青々と茂る草木が優しく足を捉えてくる。靴は何時から乾いていないだろう。グチャグチャと不快な音を立てている。色とりどりの花がこれでもかと咲き誇り、目がチカチカとする。
鳥のさえずりも絶えず聴こえてくる。それも、鳥達の愛の歌で溺れそうなほどだ。
美しいはずのそれ等は過剰で、僕の歩く足を止めようと必死だった。
とてもつなく美しい不快な世界が続いていた。
それらの存在は、美しさを禍々しく毒に染めてまで護りたいモノが僕の行く先にある事を物語っている。彼等の護っているモノがどんな形かは知らない。未だ誰も到達していないからだ。
『君達には悪いけれど……僕は辿り着きたいんでね…』
肩で息をしながら、それでも前に一歩ずつ足を踏み出す。先程から、美しい草花に紛れて苔むした骨が見えている。多分、辿り着けなかった者達だろう。美味しい果物のなる木も、美しい水の流れる小川もあるのに、まるで飢えに苦しむように手を伸ばしている骸達。
満たされているのに、満たされないという矛盾が心を狂わせたのだろうか。
今の僕には解らない。解ってはいけない。解ったら最後、仲良く仲間入りだ。
先はまだ長い。それでも確実に進もう。
ただ、それであり続ける。ただ、何時も。
私の1場面物語ではめずらしいかも?
ダークファンタジーだと思う。
ちなみに彼の目指す先には『✕✕な✕✕に✕✕✕✕』
あなたは惑わされずに辿り着けるかしら?
いいえ、いいのよ。
途中もとっても魅力的だもの。
その飢えも、乾きも癒やされるなら
その先なんてなくてもいいでしょう?
ねぇ、いいでしょう?
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