映画『対外秘』
最近あまり映画を観に行けない。
今月の映画の日は、どこの映画館も1,000円で観ることができる、とういことを忘れて、観ようとおもっていた作品の席を取っていなかった。
電車に乗って初めて予約をしようと思ってサイトに行ってみるとすでに満席。
同じような時間で観るとしたら…一番観たいと思っていた映画の次に観たいと思っていた韓国映画の『対外秘』。
正直、韓国の政治ものかつノアール作品も、そろそろお腹いっぱいかなあと思いながらも、主演がチョ・ジヌンではないか。
それに加えて大好きなイ・ソンミン。
そして『犯罪都市』シリーズの最新作でヴィラン役を演じたキム・ムヨル。
やっぱり観ておきたいに決まってるメンツ。
監督は、『悪人伝』を撮ったイ・ウォンテ。この作品でもキム・ムヨルを起用しているが、そのときのムヨルさんも素晴らしかった。
本作『対外秘』は、1992年の釜山を舞台に、政治・権力・金をめぐる男たちの争いが描かれた汗と血まみれの一本。
映画冒頭は、チョ・ジヌン演じる主人公ヘウンが、党に正式な公認をもらえるから今回は絶対に大丈夫だと意気込み、国政選挙に望む場面から始まる。
とても人が良さそうで、妻に小言を言われ小さくなっているヘウン。
しかし、突然党の公認を外されてしまう。
裏で仕切っているのはイ・ソンミン演じるスンテ。金と暴力であらゆる権力を自在にしてきた人物。自分に従順な人物を候補者にするため、ヘウンの公認を外したのだ。
それを知ったヘウンはスンテに復習するため、選挙資金を借りたヤクザのピルド(キム・ムヨル)に、開発計画があるという「対外秘」の情報を示し、自分が勝てば大金を手にできるという話を持ちかけ、無党派で選挙に出馬する。
金をばらまき順調に支持を拡大していくヘウンだが、なんと選挙は負けてしまう。
これはネタバレではない。なぜならここまででまだ一幕目。
コメディタッチで展開されていたここまでのストーリーは、ヘウンが選挙に負けたところから一気に雰囲気を変える。
誰が見方で誰が裏切り者なのか。
誰が一番汚いのか。
期待通りというか、期待以上というか。
韓国俳優の迫力と説得力のある演技はやっぱりすごい。
一番の見所は、役者たちをどアップで撮ったシーン。特に、クライマックスに近づいたときのヘウンとスンテが対峙している場面。
互いを探りながら言葉を交わす緊張感が画面一杯の役者の表情から伝わってくる。
キム・ムヨル演じるピルドは一番魅力的なキャラクターだった。
平気な顔して人を殺してしまうような残虐性がありながらも、なぜか惹かれてしまう。もしかしたらキム・ムヨルという役者そのものがそういうキャラクター性を帯びている人なのかもしれないけど。
イ・ウォンテ監督作品は、このほか『悪人伝』しか観たことがないのだけど、今後の作品も見逃せない。
韓国映画界は、ノアールしか撮らないのか。
いや違う。ノアールが得意なのだ。
得意な監督が多いようなのだ。
ラブコメディやヒューマンドラマにも面白い作品は多いが、アクションやノアール作品は特におもしろい。
韓国映画の歴史も、今後深めて行きたい。