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【INUI教授プロジェクト】⑨     第三章 展開:『The Scene 』A

追記:
⑧で、冬音が大麻を見抜いた!とありますが…
申し訳ありません。。。アメリカでは大麻が合法な州があったり、製品やお店のロゴやシャツのデザインに一般的に使用されているので、大麻がどんな植物なのか皆知っているんです。
「日本」を全く持って、考えずにいました。。。確かに日本では大麻の葉っぱなどどんなものか知っている人なんて…滅多にいませんよね。。
うん、七田アメリカ生活が長すぎて、日本感を失っておりました。(笑)
ということで、冬音は特に強い何者感がある人物ではないという考えで読み進めて頂ければ…って、無理やり感ありすぎですが。(笑)

七田からのお詫び



夜になると小春はベッドの上でワナワナと身を震わす日々が続いていた。

ー 小人小人って!!そんなバカげた話で真の顔隠して、周りをかき乱して壊そうだなんて!!夏樹も夏樹よ!!あんなサイコパスに洗脳されて!!変なものが梅子に憑いてる?!笑わせるわ!!なにか取り憑いているのは冬音じゃない!!身に降りかかった苦しみは全部私のせいにして、それがあんたの解決策?ふざけるんじゃないわよ!!ずっと家族の虐待に耐え続けてきた私が自由を求めて何が悪いっていうの?!?18まで守ってきた恩があるのを、これっぽっちも分かっちゃいない!たった一年の虐待で人生滅茶滅茶になったなんて甘ったれるんじゃないわよ!!!折角私が手に入れた楽園にズカズカ土足で入り込んで!!!私をあの家族の元に連れ戻すですって?はっ!!腹が煮えくり返るわ!!冬音も一緒に楽園で…一瞬でもそう感じた自分が哀れでたまらない!!絶対に壊させない…冬音に壊されるもんですか!!!

ギュッと握りしめた手のひらに、長く伸び切った爪が食い込んで行く。

ー あの子に壊させるなんて、絶対にさせない。

床で寝息を立てる梅子をそっと撫でる。
ー もう、私の梅子はあなただけでいいわ。

小春はそっと引き出しを開け、教授から貰ったポケットナイフを取り出した。
カチンと刃を引き出すと、それをぎゅっと握りしめ、声を出さずに笑みを浮かべて泣いた


§

夏樹はベッドの上でブツブツと呟いていた。
その手には布でこしらえた紐がぎゅっと握りしめられている。

ー 小春さんも、文秋も…全く持って当てになんねー。。。冬音をそして自分の身を守れるのは俺しかいない。冬音は優しい子だから、梅子をとる事なんて出来ねーだろうし、文秋が魔法薬の材料を素直に差し出すとも思えねー。ずっと小春さんの傍についていやがる様な奴だからな。。。俺は体格は良いと言っても、相手は犬だ。どんな動きをすっかも分かんねー。。。まずは梅子を洗脳する小春さんを取れば梅子の焦点が小春さんに向けられるはずだ。二塁で向かってくるボールばっか見てグローブ差し出している奴の所に滑り込み、足を思いっきり蹴って転ばせる。。。そんなとこか。…けど待てよ…下手に小春さんを攻撃する所を見られたら、瞬時に梅子は俺に攻撃してくるだろう。。。どうすりゃいいんだ。。。この際、どっちも力で黙らせんのが一番なのか…?

エンドテーブルに置かれた水を一気飲みし、口角から滴った一筋の線を腕の袖で拭う。
両手をグッと引っ張ると、その間でぎしっと布紐が軋み苦しんでいた。


§


部屋の中を行ったり来たりしながら、頭を抱え込むのは文秋だ。

ー 利用される…ははは。。。僕は冬音に利用されて、罪を被せられて追放されて…教授にも親にも大麻栽培をばらされる。。。僕の人生が終わるんだ!!冬音の笑顔の裏にあった物、僕の目利きは間違ってはいなかった。大麻のどこが悪い?海外では治療薬として使われて、認可されている場所だってある!そうだ、医療の研究用としてと言い訳しよう!!いや、栽培自体が違法なんだ。。。あぁぁぁぁ、もうダメだ!!冬音が黙っているという確信は何処にも無い。。。それどころかこれから先、冬音に揺さぶり続けられるかもしれない…父親を見返す金も全部冬音に取られる。。。いっそ、梅子が老衰してくれれば…なにか証拠に残らない毒が敷地内にあるはず…でも、人間の致死量と犬の致死量。。。あぁぁぁ、猛獣は分からない!!!梅子が死んだとしても、冬音は僕の秘密を握ったままだ!!!あぁぁぁぁぁぁ!!!

頭を掻きむしった文秋の両手には、大量の髪の毛がうねり渦巻いていた。


§


髪を指で梳かしながら、静かに鼻歌を歌うのは当然冬音だった。

ー 3人の顔が鬼面と化した…。
小春は…そうね、「蛇類の|般若《はんにゃ》」かしら。顔の上半分には悲しみの表情、下半分には怒りの表情が読み取れる、複雑な感情が込められている女鬼の面。私の苦しみを味わえばいいわ。
夏樹は…うーん、「顰類の…|《しかみ》」ね。笑っていた時の顔は案外可愛かったけど、今は梅子の小人殺害を試みる邪悪な鬼といった所だわ。。。くっ、可哀そうに。。。ふふっ。
文秋はふふふ...「飛出類の猿飛出」。穏やかな脳内が一変して狂うように悩み始めたは最後…目を大きく見開いで大口を開けて笑転げるしか出来ないはずだもの。。うふふ。
夏樹も文秋も全然非はないんだけど…小春に戻ってもらわないと私の人生どぶ沼に捨てることになっちゃうから、どうしてもこのプロジェクトをお開きにしなきゃいけないのよ私。

どうやって、事を起こそうかと考えていた冬音だったが、三人の顔を浮かべてニヤリと笑う。
ー 私が動かなくとも…勝手に動き出しそうだわ。。。




これが、このプロジェクト最後の夜となった…。



次回は『展開B』となります。残り2話です。

次回はプロジェクトが終了に追い込まれる出来事が起こります。
そして最終話:第四章となるまとめに終了後の4人の足取りが残されているのと、ここが本当のレポートとなりますので、そちらまで是非お読みいただければ光栄です。

七田 苗子


2・25:今日は私のバースデー:):)ふふふ。
40からは毎年 年齢を引くことにしていますので、今日で
37歳になった次第です。(笑)
一番にお祝いのメッセージをくれたのは母でも妹でもなく…
義理の弟でした:)!!
「俺よりも若くなってるじゃん…」
しみじみ突っ込まれました。。。(笑)
こんな私ですが、37歳の年も是非ともよろしくお願いいたします:)



しめじさんの「教授プロジェクト企画」はこちらから。

第一章はこのマガジンからどうぞ。


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