『あったかい繋がり』
とある小さな町の 小さな山小屋に 小さなガチョウが住んでいました。
お母さんと二人で 山に木の実を取りに行ったり
キノコ探しに出かけたり
たまには二人で クッキーを焼いたりもしています。
ガチョウのフィフィがまだ卵だった時から
お母さんは 優しく語りかけてくれていました。
頑張って卵を割って出てきたときから
よちよちとお母さんの隣を歩いています。
フィフィはお母さんが大好きです。
ある日 フィフィが一人水場で遊んでいると 隣のおうちのみーちゃんがスキップしながら話しかけます。
”フィフィ!みて!!今日はママとお出かけなんだ!”
可愛らしいドレスを着て、可愛らしいリボンで髪をしばり、可愛らしいピッカピカの靴を履いて クルリっと回転して見せます。つるりとした可愛らしいバッグまで。
”うん。かわいいね!!”
”ママとおそろいのドレスに ママと同じ髪形にしたの!
見てみてバッグもおそろいよ!!
手を繋いでお出かけするのよ。”
フィフィはにんまり笑顔を浮かべて
”すごーく可愛い!!”
と言いました。
すると、ちょっと考えたように一瞬みーちゃんが動きを止めると…
”フィフィは手がないからお母さんと手も繋げないね。
靴も履けないし、バッグだって持てないし…
髪の毛がないから 髪形もおそろいにできないのね。”
フィフィもきょとんと考えます。
”しょうがないよね、フィフィはガチョウだもんね。じゃあね!!”
みーちゃんはまたスキップしながら お家に帰っていきました。
愉しかった水遊びをするのも忘れて、フィフィはちょっぴり寂しい気持ちになりました。
次の日 お母さんがお買い物に行こうと言いました。
”お母さんの靴を履いてみたい。”
フィフィが言います。お母さんはフィフィに自分の靴を差し出すと
”履いてごらん。”
と優しくいってくれました。
でも、フィフィの水かきが邪魔して なかなかうまく靴に足を入れる事が出来ません。
やっとこ入った靴を見て嬉しそうなフィフィでしたが
いざ一歩踏み出そうとしても、靴が重くて 足が上がりません。
フィフィはしょぼんと頭を下げて言いました。
”お母さん、大丈夫。靴を履かなくっても大丈夫だよ。”
二人でテクテク一本道を歩きます。
お母さんの横を フィフィはよちよちと歩きます。
ふと立ち止まったフィフィが言います。
”お母さん、、、手を繋いであるこ!!”
お母さんは そっとフィフィに近づき、フィフィに右手を差し出しました。
フィフィは左翼を大きく上げて お母さんとフィフィは手と翼を繋いで歩きました。
でも、ちょっとするとフィフィは 翼をあげたまま歩くのを難しいと感じます。
ふと隣を見ると、お母さんも翼を握るのに 前かがみで歩きづらそうです。
しょぼんと頭を地面に垂らし、フィフィは翼を下ろして言いました。
”お母さん、大丈夫。手を繋がなくても大丈夫だよ。”
僕はやっぱりガチョウだから おそろいも手を繋ぐことも出来ないんだ…
その夜フィフィの大好きなパンをお母さんが焼いたのに
フィフィはそれを食べずに部屋にこもってしまいました。
お母さんは 閉ざされたフィフィのドアを見て 首をかしげて考えます。
ポンと手を叩くと、嬉しそうに階段を下りていってそのままお月様が昇りました。
次の朝、フィフィはまだちょっぴり寂しい気分です。
みーちゃんみたいに人間だったら…そう考えて寝付いてしまったからです。
朝起きて鏡を見てもガチョウのまんまでした。
お母さんの声が聞こえて下に行くと
ニヤニヤ笑ったお母さんが 今日もお買い物に行こうと言います。
フィフィはまた隣をよちよち歩くだけのお買い物…
大好きなお母さんと一緒のお買い物なのに やるせない気持ちでいっぱいです。
でも、大好きなお母さんとのお出かけは やっぱり行きたい…だから
うん! と頷きました。
ドアを開けると ちょっぴり冷たい風が吹いています。
もう秋がすぐそこまで来ていると告げる そんな風。
ぱたんと玄関の戸が閉まると…
後ろからフィフィの首にふわりと何かが巻かれます。
気づくと 首元にあったかくって ふわふわで 可愛らしいマフラーが。
お母さんを見ると…
お母さんもマフラーをしながら クスクスと笑っています。
”フィフィ…”
お母さんがフィフィに目線を合わせて腰を下ろします。
”フィフィと同じお靴は履けないし、
同じ髪形も出来ないし、
手と翼を繋いで歩くのも難しいけれど…
ほら!!おそろいのマフラー 一緒にかけて 一緒にあるこ。”
優しくて 素敵な僕のお母さん…
僕は生まれて初めて
お母さんと”おそろい”でお出かけした。
嬉しくってガーガー鼻歌を歌っていると
お母さんがクスクス笑って教えてくれた。
フィフィ、このマフラーね、お揃いだけじゃないのよ。
ほら…こうすると…
二つのマフラーを合わせると、ピッタリ繋がっているんだよ!!
一つの毛糸で編んだから、フィフィとお母さん 手を繋がなくっても
いつもこうして繋がっていられるでしょう。
ものすごく嬉しくって 羽をバタバタさせて踊ったフィフィ。
嬉しいな。嬉しいな!!!
みーちゃんのおうちの前を行くと
みーちゃんとみーちゃんのママがお出かけする様でした。
”みーちゃん!!見てみて!!お母さんが作てくれたお揃いのマフラー!
お揃いで お出かけなんだ!!!”
良かったね。そう言ってくれたみーちゃんでしたが、バイバイと手を振って歩きだすと、大声でみーちゃんが泣いています。
”みーちゃんもお揃いのマフラー!!ママ編んでぇーーーー!!!”
可愛いドレスを着たまま 地面でドタバタ泣きわめくみーちゃんを見て
みーちゃんママは困った顔をして
”ママは編み物出来ないのよ…”
するとみーちゃんは地面をゴロゴロと転がりながら ずーーーっと泣いています。
そんなみーちゃんとみーちゃんママを見て、口があんぐり空いてしまったフィフィ。ふとお母さんを見上げると お母さんもあんぐり。。。。
一緒にぷぷぷと笑い出して また歩きはじめるフィフィとお母さん。
”みーちゃんとみーちゃんママにも作ってあげなきゃだね。”
お母さんがフィフィに軽くウィンクを飛ばすと フィフィもクスリと笑って
”みーちゃんはピンクが好きなんだよ。と言いました。”
”じゃあお野菜買ったら 毛糸を買いに…”
お揃いで
マフラー繋いで
行きますか!!!
大好きなお母さんの隣を 今日もよちよち歩く幸せに浸るフィフィです。
おわり
大好きなNolyさんの初企画!!
こちらに参加させていただきます:)
Noteを始めた時から、Nolyさんのホンワカさにいつも癒されている私です。
初企画、、、、逃すわけにはいかないと マフラー仕上げました:):)
編み物が上手なわけではないので お恥ずかしいですが…でもフィフィがきっとNolyさんとお揃いで出かけたいかなって思って。ふふふ。
フィフィの首に負担がかからぬように 簡単なシンプル編で作ったら、、、Nolyさんのものを編み方を変えて作っていたらお揃い感が出なくなってしまい、ほどいてフィフィと同じシンプルな編み方にしました:)
下手ですが、Nolyさんとフィフィに後程送らせていただきますね:)
初企画!!!おめでとうNolyさん:):):)
夢に一歩近づけましたね;)これからも応援させてください:):)
七田 苗子