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漫画アシスタントになるには?〜方法3選と求められる人材〜

皆さんこんにちは。非売れっ子漫画家の能登ひなみです。

過去に4年間ほど漫画アシをやっていた私が、今回は漫画アシになるにはどうしたらいいのか、そもそも漫画アシとはどういった職業なのかを紹介して行こうと思います。

また、現場ではどれだけの能力が必要なのか、どんな人材が重宝されるのか、逆にどんな人は向いていないのかにも触れて行きます。
ではご興味ある方しばしお付き合いください。

1.漫画アシってどういう仕事?

漫画アシスタントとは、主に作家さんの原稿のお手伝い(背景作画、トーン処理などの原稿作業、現場によっては自炊、買い出し、掃除なども含まれる)を行う職業です。
法人化している大物作家さんだと社員として雇われる場合もあるようですが、ほとんどがフリーの個人事業主です。なので収入は月によりバラつきがある場合が多いですが、アシスタントは実力主義の世界なので能力が向上するに従い収入も安定したものになります。中にはプロアシとして安定した収入を得て家を建てる方もいるそうです。

2.漫画アシになる方法は、紹介、掲示板、SNS

漫画アシスタントを始めたいけど、まずどうしたらいいの?と悩んでいる方にベーシックなやり方を3つご紹介します。(ここではアシスタント経験なし、自分の作品は数作描いて持ち込みをしている駆け出し作家さんの場合とします)

1.担当編集さんからの紹介
もし自身の漫画を持ち込んだ先で担当さんがついてくださったら、ついでに「アシスタントを募集してらっしゃる作家さんはいませんか?」と聞いてみましょう。
タイミングが合えば、初心者にも教えてくれる余裕があるベテラン作家さんなどを紹介してくれるかもしれません。
担当編集さんとしても自分の担当している新人作家には早く上手くなって欲しいので、かなり前向きに協力してくれるはずですよ。

2.アシスタント専用掲示板(GANMO、JAC)を使う
次にメジャーな方法はアシスタント専用掲示板を使うことです。これならば担当さんがついていなくても自身で職場を探すことができます。GANMOとJACが有名ですが、おすすめなのはGANMOです。GANMOのほうが代謝がよく頻繁に更新されているし利用者が多い印象です。JACも利用はできますが、少しずつ利用者の年齢層が高くなっている印象を受けました。

3.作家さん、編集さんのSNSの募集告知
他には、作家さんや編集さんが自身のSNSでアシスタントを募集している場合があります。
DMやリプライで返信することになった場合でも、文章には気をつけて社会常識があることをアピールしましょう。間違えても「アシ募集の告知見ましたー^_^興味ありなんですけどー!!!」みたいな友達テンションは辞めましょうね。

3.どんな技術があればなれる?重宝される人材

それでは、現場に入る上で絶対に必要な技術ってあるの?

最低限のパース理解力、トーン処理技術、また最近はクリスタ等のデジタルソフトに触れた経験があると有利です。

ただ、これはあくまで「有利である」だけであって、これらがあれば必ず雇ってくれるというものではありません。
ただ、一つ最も大切なもの。それは
コミュニケーション力です。

技術よりまずコミュニケーション力。
これは絶対です。
「挨拶、ありがとうございます、すみません」
がちゃんと言えて時間を守れて仕事に前向きに取り組めること。これがクリアできれば多少技術がおぼつかなくても大体の職場で受け入れてもらえるはずです。

また、初めてお世話になる職場ではメモ帳などを持参して教わった仕事のやり方をきちんとメモに書くようにしましょう(これ、緊張感がない人は作家さんが指示しないとやらないらしいんですよね…)

技術が拙いけどハキハキ返事ができて一度言ったことはちゃんと覚えられる人。
技術が拙いし返事もしないしメモも取らない人。雇いたくなるのは前者ですよね?

漫画界は残念ながら漫画だけ描いていれば入れるわけではありません。正確に言えば入ることはできても居続けることはできません。

アシスタントとはいえ必要なのは「社会常識」です。こればかりは経験を積んで覚えていくしかない面もありますので、若い方は特に漫画以外にも学業、仕事、バイトなど積極的に頑張ってみまししょう。

おまけ.それやるあなたは向いていない!困ったアシにならないために。

最後におまけ事項として、それだけは絶対にやっちゃダメ!な漫画アシの基本ルールをお伝えしておこうと思います。

一つだけお伝えします。この一つがアシをやる上で一番重要です。逆についこれやっちゃうって方はアシには向いていません。独学で漫画を描くとよいでしょう。私が声を大にして言いたい最もやっちゃいけない行動それは

作家さんにマウントをとる

です。

マウント、つまり上から目線で作家さんに接したり仕事のやり方にいちいち文句をつけたりすること。

これやっちゃうアシさん意外と多いんだよ!!!

作家さんが若くしてデビューされた方で、漫画業界や世の中についてよく知らないと、それに対してベテランアシさんがマウントを取り始めるって例が多いようです。(例、パースがよくわからない作家さんに技術マウント、年下の作家さんに年齢マウント、自分は大作家先生のところ通ってましたマウント)

また、同じ漫画専門学校に通っていた友達が先にデビューし、そこにアシスタントに通うことになったのだが、友達から指示を出されたり注意されたりすることに抵抗を覚えて、つい反抗的な態度を取ってしまう、なんてパターンもあるそうです。

まず絶対に覚えておかなくてはいけないのは
雇ってくださる作家さんは自分より目上である
という意識を持つことです。

その作家さんが頑張って連載を勝ち取ったから漫画アシの需要が生まれ、アシスタントとして働けているのです。その大前提は絶対に忘れないようにしましょう。

中には人間性が好きになれない作家さんやどうしてもやり方が合わない職場もあると思います。
そういった場合、専属アシではなくフリーの個人事業主でしたらどこに移っても自由ですので、作家さんに辞める日程を素直に相談してみましょう。(ある日突然雲隠れだけは避けましょう)


漫画アシは大変なことも多いですが、合う職場に行けば働きながら技術を磨けますし、漫画家の知り合いができたりとメリットも多いです。

最近は在宅アシが主流になっているようですが、もしあなたが駆け出しであれば現場にアシさんを呼んで仕事をなさっている先生にお世話になるのもよいのではないでしょうか。

私はアシスタントを始めて少なくとも背景は描けるようになりました。また、積極的にネーム添削をしてくださる作家さんからは漫画の基本ルールを学ぶことができました。
結論として漫画アシをすることはおすすめです。
商業作家になりたいならば一度やってみて損はないと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。漫画業界について知りたいことがある方はコメント欄までどうぞ!

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