拝啓、あらいきよこ先生へ
作品の連載が終わってから、もう15年以上経ちましたね。当時小学生だったわたしももう社会人になってしまいました。
突然のお手紙、申し訳ありません。
実は最近、漫画『ビューティ・ポップ』を読み返したのです。
毎月おこづかいの500円玉を握りしめ、発売日に本屋へ走っていた頃のトキメキが蘇りました。
それと同時に、あの頃には感じ得なかった、なんともいえない心強さを作品からもらったのです。
この感動はわたしの胸だけには留められない!
なんとしてでも、先生へこの想いを今すぐお伝えしなければと思ってしまいました。
主人公の小柴綺里ちゃん。
『ビューティ・ポップ』の連載を追っかけていたわたしは当時小学校の低学年でしたが、
初めてこの漫画を目にした瞬間から彼女のトリコでした。
ボーっとしていてマイペース。
のんびりやであんまり笑わず、気取らない。
思いっきりくしゃみをしたり、いつも眠そうに大きなあくびをしていたり。
わたしはニコニコするのが苦手で愛想の無い子供だったので…(笑)気取らない綺里ちゃんのすべてが、心の拠り所でもありました。
今読み返してみても、ほかには無い、新鮮なヒロインだなあと感じます。
さらに綺里ちゃんは、動物や子供お年寄りに優しい、とっても温かい心の持ち主。
そして何といっても、天才的なヘアカット技術。
でも彼女は、絶対にその能力を他人にひけらかしたりしない。
譲れないものを胸に熱く燃やした、
情熱的な一面がある。
困っている人や悩んでいる人を放って置けない、
『私が魔法をかけてあげる』のセリフは何度聞いても、カッコよくてカッコよくて、痺れます…!そう、綺里ちゃんはヒーローヒロインなのです。
わたしは今、社会人となり
立派とはいきませんが一生懸命働いています。
当たり前ですが、辛いこともたくさんあります。
昔は知る由もなかったようなことで、心折れそうになることもあります。
『ビューティ・ポップ』を読み返して、
久しぶりに会った皆の姿に、本当に元気をもらいました。
綺里ちゃんの姿に、ふたたび勇気をもらいました。
綺里ちゃんが心にいると思うだけで、
わたしも風に吹き飛ばされず、強く立っていられます。
あらい先生、
綺里ちゃんとわたしを出逢わせてくれて、
こんなに素敵で最高なヒロインと作品を送り出してくれて、本当に本当に、ありがとう。
綺里ちゃんは、
いつまでも永遠にわたしのヒロインです。