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驚きのわかりやすさ!マクロ経済基礎_奇跡の経済教室/中野剛志②

こんにちは。
中野剛志さん著の奇跡の経済教室について、引き続きまとめていきます。まじで目からウロコが落ちて、わかりやすくマクロ経済が理解できたのでご紹介します!

①を読んでいない方は、①を読んでから読んだほうがわかりやすいです。インフレ・デフレについてすでにご存知の方はこのまま②を読んでいただけたらを思います。

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お金とはなにか

さあ、お金とはなにかの問いに、2つの説があります。

・商品貨幣論
・信用貨幣論

一般的に認識されている論は商品貨幣論ですが、現在日本のお金の現状は信用貨幣論です。なのでいろいろと違いで出てきているということですね。


【信用貨幣論】
例)不換通貨(お金と金を交換できない)

ロビンソン・クルーソーとフライデーしかいない孤島(イングランド銀行の季刊誌にて)

その孤島で「ロビンソン・クルーソーが春に野苺を収穫してフライデーに渡す。その代わりに、フライデーは秋に獲った魚をクルーソーに渡すことを約束する」とします。
この場合、春の時点では、クルーソーにはフライデーに対する「信用」が生じます。反対にフライデーにはクルーソーに対する「負債」が生じています。そして、秋になって、フライデーがクルーソーに魚を渡した時点で、フライデーの「負債」は消滅します。
(中略)ここで重要なのは、このクルーソーとフライデーの野苺と魚の取引が、同時に行われるのではなく、春と秋という異なる時点で行われるということです。
というのも、野苺と魚を同時に交換する「物々交換」の場合には、取引が一瞬で成立しているので、「信用」や「負債」は発生しません。
(中略)(春の時点で)フライデーがクルーソーに対して「魚を秋に渡す」という「借用証書」を渡したとしましょう。
ここで、話を少しアレンジして、この島には、クルーソーとフライデー以外にサンデーという第三者がいたとします。
サンデーは、火打ち石を持っているとする。そして、クルーソーが、フライデーに対する「借用証書」をサンデーに渡して、この火打ち石を手に入れたとしましょう。
(中略)このフライデーの債務の存在を示す「借用証書」が、貨幣となっているのです。

<奇跡の経済教室89ページ〜91ページ>

さて、ここでクルーソーの「借用証書」が貨幣となるには、クルーソーが「秋に魚を渡す」という約束を必ず守るという信用が必要になります。

なので、お金=信用という論が信用貨幣論です。

【商品貨幣論】
例)金本位制(お金と金を交換できる)のお金、仮想通貨

昔々、人々は物々交換でモノのやり取りしていました。
自分に必要なモノは、全部、自分で作れるわけではないので、何か必要なモノがあるときは、それを持っている誰かのところに行って、自分が作るモノと交換したのです。
しかし、それは、大変面倒なことでした。
やがて、人々は、ある価値のあるモノを選んで、それを「交換の手段」としました。例えば、金とか銀とかいった貴金属です。金とか銀とかは、それ自体に価値があるだけではなく、耐久性があり、また持ち運びに便利だからです。

<奇跡の経済教室94ページ>

つまりお金=貴金属などの商品(または商品に交換できるもの)という論が商品貨幣論です。


では今日本で使っているお金を持っていって、貴金属に交換してくれるでしょうか?貴金属やさんでモノを買うことはできますが、意味が少し違うことわかりますか?

今使っているお金(円)は金の裏付けがあるわけではなく、日本の信用によって発行されています。日本が保有する金よりもたくさんのお金が発行されていますよね。つまり信用貨幣論が正しいという見解(著者・専門家・公の機関)です。

ついでに、日本の信用=日本政府は税金を円で受け取るということです。このあたりは長くなるので省略しますね。


お金の作り方

お金ってモノがなくても作れるという信用貨幣論を前提に、お金は無から作られます。これは衝撃でした。(でもよく考えたらそのとおりでした)

さて円には日本銀行券と銀行預金の二種類があります。
日本銀行券は財布の中に入っている1円、5円、10円、50円、100円、500円、1000円札、5000円札、1万円札で、日本銀行が発行しています。
銀行預金は給料の受け取りや貯蓄に使われており、実質的にお金の役割を果たしています。しかも円のうちの8割を銀行預金が占めています。

それでは銀行預金は誰が作っているのでしょうか?それは銀行です。

銀行が、預金通貨という通貨を創造する。

驚きですよね?でも下記の文章で納得してしまいました。

多くの人が、銀行は、個人や企業が貯蓄するために設けた銀行口座に預けた預金を元手にして、貸出を行っていると思っています。
しかし、これは、実は、間違いなのです。
実際には、銀行は、人々から集めた預金を元手にして、貸出しを行っているのではありません。その反対に、貸出しによって、預金という貨幣が創造されるのです。そして、借り手が債務を銀行に返済すると、預金通貨は消滅するのです。
例えば、α銀行が、借り手のA社の預金口座に1000万円を振り込む場合、それは銀行が保有する1000万円の現金をA社に渡すのではありません。単に、A社の預金口座に1000万円と記帳するだけなのです。
このようにして、銀行は、何もないところから、新たに1000万円の預金通貨を生み出すことができてしまいます(これを「信用創造」といいます)。そして、この1000万円の預金通貨は、A社が返済すると消滅します。

<奇跡の経済教室98ページ>

ということで、借り手A社が返済するという信用をもとに預金を創造しているのです。これはイギリスの中央銀行や日本銀行協会の見解です。

ですので、借り手の資金需要があれば、銀行は手元にある資金の制約を受けずに貸出を行うことができます。
ここでもお金=信用という式が成り立ちますね。


デフレ対策は金融政策(日銀)?財政政策(日本政府)?

日銀はデフレ対策をすることができません。
デフレ対策は日本政府の仕事です。

デフレとは物価が下がることなので、デフレ対策は物価を上げることです。そして物価を上げるには、円の価値を下げる必要があります。
モノよりも円の価値が高ければ、物価は下がります。(円を持っておきたいのでモノを買わない)
円よりもモノの価値が高ければ、物価は上がります。(モノを持ちたいので、円を使う)
つまり、円をたくさん刷ってばらまくと物価は上がります。

ですがコロナ下の一律10万円給付なんてことは早々なく、実際に誰彼構わずばらまくなんてことはできません。(実際一律10万円給付は日本銀行ではなく日本政府が決定しました。)

実際には市場にお金を増やすには、借り手の資金需要と返済能力が必要です。日本銀行ができるインフレ対策は、金利を下げて借り手の資金需要にアプローチすることだけです。

とはいいつつ、マイナス金利の状況下でこれ以上金利は下げられません。今日本銀行にできるデフレ対策はないのです。

では日本政府は?

日本政府が公共事業をする際に資金需要が発生します。
あ、あれ?解決?

公共事業に必要なお金を日本銀行から借り(信用創造)、そのお金を業者へ支払うことで市場にお金が増えます。お金を返さなければ、創造したお金は消滅しません。市場にお金がたくさんあるのでモノの価値は下がりデフレは解消します。

あれ?解決?

デフレ対策は日本政府のお仕事なのです。


日本の借金と増税について

日本は巨額の財政赤字を抱えています。そんな日本がさらに借金をしてもいいのでしょうか?

さてここで、日本がギリシャやイタリアと同じように財政危機を迎えているならば、日本国債を買う人がいなくなるので金利は暴騰するはずです。ゼロ金利、マイナス金利っておかしくないですか?

ここで信用貨幣論がでてきます。
本に書いてあることをいろいろ端折って結論だけいうと、日本の信用でお金を創造しているので、日本の信用(返済能力)がある限り破綻はしません。日本の返済能力が心配って?借金の園祭に必要な通貨(円)を発行しているのは日本ですよ。

国民1人あたりの借金が〜などいろいろ世の中で騒がれていますが、お金を創造できる日本と、一般の企業・個人とは全く別物ということですね。

さらに財政赤字=民間貯蓄となるためなにの問題もないのです。

まとめてくれています。

政府の財政赤字は、民間部門の貯蓄によってファイナンスされているのではない。
政府の財政赤字は、それと同額の民間部門の貯蓄を生み出す。
したがって、民間部門の貯蓄の量が制約となって、財政赤字が拡大できなるということは、ありえない。

<奇跡の経済教室140ページ>

本当に何があっても財政破綻はしないのか?

さて、財政破綻をする方法をお答えしましょう。
「政治的意思で借りた金は返さないという決定をする」まあ、日本は大丈夫なんじゃないですか?

ちなみにEURの発行権がないギリシャやイタリア、USDを利用しているアルゼンチンなど、外貨建ての国債については財政破綻はありえますのでご注意下さい。

どれだけでも財政赤字を増やして良いのか?

「インフレが行きすぎないまで」が上限です。え、そんなことでいいの?個人ではありえませんが、国はそれでOKなのです。

日本の借金は将来税金で返す必要があるという理論もどうやら間違いのようです。だってお金は国が無限に生み出すことができるのですから。

税金の本来の役割は「財源確保」ではなく「物価調整」の手段です。

税金がなくなるとハイパーインフレが起こるそうです。あとは所得再分配だったり国の方針をより民間に行き渡らせるための政策ですね。

たしかに貯金をするなという意思はガシガシ感じますね。NISAやiDecoを非課税にして貯蓄→投資の流れを促してみたり、贈与税・相続税を上げて自分のお金は生きているうちに使い切れと促してみたり。
農地にしておきたいところと住宅地にしたいところでも、固定資産税や相続税が違うみたいですよ。これが本来の税金の利用方法です。

まとめ

びっくりしませんでした?私はいろいろ衝撃でした。

私は細かい説明を飛ばしていることもあるので、興味を持った方はぜひ原著で読んでみてください!お金についての知識が深まります。

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