『レーエンデ国物語』 『月と太陽』 『喝采か沈黙か』 本のこと
昨年、書店で幻想的なカバーが目に留まり
銀呪の森、空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城
ファンタジーワードにわくわくして手にとったのがきっかけです。
好きな本が本屋大賞のノミネートに上がりとっても嬉しいです。
『レーエンデ国物語』
◎ 感想
なんといっても細やかな情景描写に美しい景色が次々と浮かんできてました。森に住む民族の衣食住までも容易に想像出来て序盤からレーエンデに魅了されていました。
命ある限り守り抜くと決め、三人で過ごした日々を胸に全てを捧げたトリスタンの生き方がとても切なくて、後半は涙腺が緩みっぱなしとなりました。
自由を絡めた「花と雨」の表現も印象に残ってます。いつまでも浸っていたい(抜け出せない)世界です。
『レーエンデ国物語・月と太陽』
◎ 感想
登場人物はガラッと変わり、前巻から100年余りたったお話。
戦場でのことが多く武力での戦い、人々の諦め、裏切り、それでも「レーエンデを愛してる」と希望を持ち続けるテッサ。
その背景には愛情溢れる家族やダール村の人々の暖かさの中で育った環境が見えたのに対して、ダンブロシオ兄弟の孤独が壮絶でした。
世界一幸せな花嫁になることを夢みていたはずなのに。
愛情がひっくり返る憎悪は重たく、主人公の二人とも純粋なだけにやるせなさの残る後味…
とはいえ、このお話ありきの三冊目
『喝采か、沈黙か』に続きます。
『レーエンデ国物語・喝采か沈黙か』
◎ 感想
前巻から更に100年余り後、双子の兄弟を中心に芸術で人々の心を動かしていきます。英雄テッサの物語が劇となるので二冊目と続けて読んで良かったです。
劇を軸に語られていく本書の流れは徐々に熱を持って盛り上がり、ラストの閉幕には素晴らしい音楽を鑑賞したような気持ちに。
美しかったレーエンデの森は焼きはらわれて一冊目のような神秘さはなくなってしまいましたが、大喝采を送りました。
最後に・三冊読み終えて
「革命の話をしよう」
はじまりに必ず入っているにもかかわらず、これは革命を生きたものたちの長きにわたる物語であることが三冊読んでやっとストンと心におちました。
壮大なスケールで描かれてることを時折思い出しながら、この革命の行末を見届けたいと思ってます。
「感謝の気持ちを込めて」とついてたスペシャルストーリーでトリスタンにまた会えた嬉しさったらないです。ユリアも愛らしい女性で本編にはないふたりの時間を垣間見ることができました。
次はどんな時代でどんな人物が登場するのか春が楽しみです。
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