石の上にも三年

石の上にも三年!

私はせっかちだ。
新しいことを始めたとき、すぐに結果を求めてしまう。

23歳の時、初めてテレビ番組のオーディションを受けた。
サンテレビ『原田伸郎のめざせ!パーゴルフ』である。
『原田伸郎のめざせ!パーゴルフ』は、長年続いている人気番組。
光栄ながら、私は新アシスタントとして
仲間に加えさせて頂くこととなった。

初めてのロケの日、一般でゴルフ場に来ているお客さんに
「あれ?アシスタント新しく変わったんやなぁ。せっちゃんと違うんか。」
と言われ、私は張り切って
「六車奈々と申します。よろしくお願いします!」と答えた。
人気番組のアシスタントに抜擢されたのだもの。
私は前途洋々!希望に満ち溢れていた。

パーゴルフは毎週月曜日にオンエアだが、ひと月分をまとめて収録する。従って、ロケに出るのは月に一度だ。

翌月、二回目のロケに行ったとき、
「お。アシスタントの子、変わったんか?」
と声をかけられた。

まだオンエアされて、ひと月も経っていない。
私のことを知らない人がいて当然だし、それ以前にアシスタントとして
まだまだ『ペーペーの素人』だ。
早くアシスタントとして認めてもらえるように頑張らねば!
と気合が入った。

ところが、それから半年経っても、一年が過ぎても、
「あれ?新しいアシスタントの子か?頑張ってやー!」
と言われる。
『翌月のロケこそは、誰か一人でもいいから私のことを知っててほしい!』
そう願ってロケに向かうが、誰も名前を呼んでくれる人はいなかった。

私は悩んだ。
私の顔って、そんなに特徴が無いのだろうか?
私のアシスタントぶりって、そんなに記憶に残らないのだろうか?
そもそも私には個性が無いのだろうか?
私は、だんだん自分に自信が持てなくなっていた。

しかし悩んで解決するものではない。
やるっきゃないのだ!
前任アシスタント『せっちゃん』のように、どこのゴルフ場へ行っても
「いつも見てるよー!」と声をかけてもらえるように頑張らなくては!

私は、余計なことを一切考えないことにした。
伸郎さんはじめ、周りの方に助けて頂きながら、
アシスタントとして番組を盛り上げることだけを考えた。
そして思い切り現場を楽しんだ。

こうしてコツコツと経験を積み上げ、
自分でもアシスタントととして少し自信が持てるようになってきたある日、気づけば、どのゴルフ場へ行っても、

「奈々ちゃん!頑張ってやー!」
「奈々ちゃん!いつも見てるでー。」

と、温かいお声がけを頂くようになっていた。
アシスタントをさせて頂いて、ちょうど三年目だった。

そうか。
すぐに結果が出ないこともあるのか。
『石の上にも三年』とは、よく言ったものだ。本当にその通りだった。

結果として、私は歴代のアシスタントで最長記録を更新させて頂くほど
番組に可愛がって頂いた。
そう。あの時悩んだが、
私の顔に特徴が無いわけでも、
私のアシスタントが記憶に残らないわけでも、
私に個性が無いわけでもなかった。
ただ、『身になるまでに時間がかかることもある』、
それだけの話だったのだ。

この成功経験は、私の中で大きな財産となった。
これ以来、『三年』という指標を持つことによって、
うまくいかないことがあっても、気持ちにゆとりを持って
物事に臨めるようになった。
ゆとりを持って物事に臨めることは、
私のような不安定な職業ではとても大きな意味を持つ。

新しい番組を頂いたときはもちろん、
上京したときも、
結婚したときも、
うまくいかない事や辛いことがあるたびに、
『とにかく三年は頑張ろう!』
と思って続けてきた。

そして今、六車奈々の『食べる美人塾』も、
同じ気持ちで全力投球している。
美人塾は丸二年が過ぎ、三年目に突入した。
焦る気持ちもあるが、石の上にも三年だ。

皆さーん。
三年目の美人塾は、ちょうど脂がのってまっせ~!!!
ぜひ、一度は遊びに来てくださいね!

以上、告知でした(笑)


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