「お受験vs中学受験」どちらが幸せか?
今回のテーマは「お受験vs中学受験」どちらが幸せか?。
我が子の将来のために、より良い環境や一貫教育に魅了され、小学校受験を志望する家庭が増加傾向にあります。しかし、安くないお受験費や学費による家計への負担が立ちはだかります。一方、中学受験なら、子どもの意思で学校を選べることができたり、難関大学を目指すには中学受験は必須という考え方も。
果たして小学受験、中学受験どちらが家庭にとって幸せなのか、そもそも小学受験、中学受験は、子どもの教育や成長において幸せをもたらすのでしょうか?
ゲストには自らも中学受験経験者でかつお子様の中学受験を終えたばかりの泉田良輔さん、 慶応幼稚舎ご出身でお受験経験者の椎木里佳さん、中学受験を専門とする「花まる学習会」代表の高濱正伸さん、灘中に失敗するも見事高校受験で灘高に合格された佐渡島庸平さん、そしてお子さん全員を難関中学合格に導いた佐藤亮子ママ。
お受験、中学受験の経験者と受験のプロにお越しいただき、小学・中学受験の是非を論じました。
結論として、このテーマについては結論は出なかったというか、白黒つかないことがある意味正解でした。
佐藤ママの意志は一貫していましたが、高濱さんと佐渡島さんの「わがままな子供が強い」など新たな視座が生まれ、「安心した」「中学受験を考えていたけど、やらないと決めた!スッキリした」などのツイートも見られました。隣の家の教育に口を出す必要なんてないのだけど、ご自身の家庭の方針に近いゲストの言葉を参考にするという気持ちでお読みいただければ幸いです。
まず議論の前に押さえておきたいポイントとして今春コロナショックによるお受験への影響です。
森上教育研究所の調査によると、2020年の首都圏私立中学の受験率では今年は14.3%と5年連続で増え続けてきましたが、コロナショックによる不況の影響でこれから受験を本格的に考える4、5年生が家庭の経済事情などから受験をやめるケースが多いと言われています。
それもそのはず、小学校から高校卒業まで全て私立に入れた場合の学費は約1670万円。中学校から私立の場合は約900万円かかります。一方、全て公立のみの場合は約470万円と、全て公立の場合と比べて約1200万円の差があります。
学費以外にも、お受験・中学受験には受験費がかかってきます。私立小学校受験にかかる費用は年長1年間で約230万円と言われており、その内訳は塾代に加え、教室代や親子のお受験用の洋服代などもかかります。
一方、中学受験にかかる費用は、6年生時で年間平均約130万円と、お受験に比べると、比較的抑えられた金額といえます。
このように、受験にかかる費用は決して安くはないですが、子供の未来のために、受験はさせたほうがいいのか?子どもの将来にとってベストな選択なのは何なのでしょうか。
番組の前半では「お受験vs中学受験」子どもの将来にとってベストな選択は?ということでゲストの意見はこのようになりました。
という回答に。
TheUPDATEおなじみの指摘(?)として、高濱さんと佐藤ママからは「問いがおかしい」。そもそも子供の幸せは親が決めるものではない。
選んだ選択を幸せにしていくのが親の努力。親子で決めた道をベストにする努力をするべき。決めた道を正解にする努力です。
佐藤ママはお受験自体はおすすめしていないそう。幼稚園児が合否を受け止められる力がないので、過酷であるとのことです。
お受験の家族を多数見てきた高濱先生によると、親が合否の結果を受け止められず、子供に悪影響を及ぼすケースがあるといいます。
お母さんが曇ると世界が曇る。
受験を引き金に家族が曇ってしまうのなら、親が受験の合否結果に左右されないマインドで居る様に努力する、もしくはそもそも受験させないという選択がいいと思います。
一方、母の勧めでお受験を経験された椎木さんは、過酷であったというお受験の記憶がないそう。体操や工作などのお受験はあそびだと思っていたので、ご本人には辛いという感覚がなかったのだそう。
はたまた「お受験も中学受験もいらない!」と言う佐渡島さんの意見。
受験は我慢をする時間を強いるのですが、これからは我慢するというスキルは役に立たない。昔は我慢強い子供が評価されましたが、今後はわがままな人間が勝ちます。しかし、お受験ではこのわがままになる能力は育たない。
強いることを「抜く教育」が必要で、子供には自分の欲望に気づき、のめり込む力を伸ばしてあげる方がいいのです。最低限の教養を持った上で、やりたい、知りたい、ということに気づく力、のめり込む力、やりきる力を育む。これは受験では身につかないらしいのです。
一方で泉田さんからは世界を見ろ、という指摘が。受験のゴールを「日本のいい企業に入る」ことに設定するから受験という選択肢が生まれる。なぜ日本の内で目標を考えるのか。視野を広く考えるべき。
ここまでは受験が子供に与える幸せを議論しましたが、後半では「家族にとって受験は幸せなのか」というテーマで議論をしました。
まずは、お子さんの中学受験を終えたばかりで家族としても当時のご自身としても「しんどい」と感じた泉田さん。
受験は基本的にしんどいもの。親子にとって、それが大前提だということを理解しておかなければいけません。とはいえ子供の人生は長い。6歳程度で熱量を出し切るのはもったいない、その後待ち受ける試練に注力させたほうがいいと言います。
佐渡島さんの意見は、受験は「楽しいなら」。受験では、我慢の対価として「合格」が授与されます。しかし、本来は子供が楽しいと思うことを深掘りしていく報酬に「喜び」があると言います。楽しさは自主性から生まれますが、今の受験システムでは見つけづらい。子供自らが楽しさを深掘りしていくのが子供にとっても家族にとっても一番であると言います。
ちなみに佐渡島さんのお子さんは高濱さんの運営する「イモイモ塾」に通っており、ここでは未来の教育を実践しているとのこと!
佐藤ママの言葉はごもっともですよね。子供の幸せは家族の幸せ。佐藤家では受験はギャンブルという考えがあったそう。勉強はその確率をあげるものでしかないので、家族全員で協力するのがルール。受験勉強を楽しくさせる工夫も、親の責任であります。
佐藤ママはもう一つ、子供に対しての責任を教えてくれました。
もし両親共働きで忙しく、子供の勉強の協力ができないのなら、受験はさせないでおくべき。子供に対しての責任が取れない家庭環境なら、受験は諦めるべき。なぜなら、受験には親の協力が必須であるから。
ちなみにお父さんが勉強に口を出すと受験は失敗する!そうです。お父さんはバックオフィス的な送り迎えや家計の面を支える。縁の下の力持ちになることが、受験の成功の秘訣だそう。
一方、勉強ができない子に受験をさせるべきか?という指摘の高濱さんの意見は、勉強が不得意な子供に対しての保険として、受験はある意味子供の将来を担保すると。
佐藤ママの主張は、受験は必ずしもさせる必要はないが、12歳までの知識はどんな形でもきっちり身に着けさせるべきだという。小学校6年までの知識が人間を司ると言っても過言ではないので、学校の偏差値より、塾にいくなり親がしっかりフォローアップするなりをして学校の知識を身に沁みこませるべきだという。
子供の主体的な時間(のんびりした時間)が多いほどイノベーティブな子供が育つというのが高濱さん・佐渡島さんの主張に対し、佐藤ママはある意味真逆の意見ではありますが、両者の強い意思と自信からわかる様に、教育に失敗はないということが分かります。
そして古坂さんの選ぶキングオブコメントでは
という、泉田さんのコメントに。
今回は最後まで納得のいく結論が出なかったですが、このテーマに敢えて答えをつけるとするなら中学受験。
ちなみに古坂さんはお子さんに受験はさせないそうです。世の中を生きていくために必要な能力、すなわち哲学、法律、身体能力を教えていきたいのこと。
キングオブ奥井共感コメントは、高濱さんの
に決めさせていただきました。
親として子供への「保険」として、子供の記憶がまだそこまでない時期にお受験をさせるのは子供にとっても親にとっても、早くから試練を乗り越えていけば子供にとって幸せかもしれません。
作家で哲学者の東浩紀さんの言葉を引用させていただくと
まさにその通りだと思います。
小・中校受験を通して、意欲、協調性、忍耐力、粘り強さ、問題解決能力などを培うチャンスが得られると思います。
しかし、それらは受験をさせずとも身につくということ。
家計と親の労力に十分な余裕があれば、受験はやらないよりもやったほうがいいと思います。しかし、それはあくまでも保険。本当に人生で必要なことは、子供が自らの意思で生きていく様になったときに自然と身につけていくもの。親はその意思を作るためのサポートを子供に合った方法でサポートしていくべきなのだと思います。