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野草研究 2 冷え性と春ウコン

野草を調べていると薬効のあるものが多いので、薬草も含めて縁のあった植物のことも調べてみたいと思います。
今回は春ウコン。

私はかなりの冷え性です。
数年前まで冬場に下腹部が冷たくなることがよくありました。
比較的温暖な藤沢の、海の近くに住んでいた頃のこと。

隣接する鎌倉は寒い土地なので、移住する際にはかなり覚悟をしました。
でも、引っ越してみると意外や意外、出かけるのが楽しくよく歩くようになり、またお茶室メンテナンスの仕事を始め、定期的に身体を動かすようになったことで、下腹部の冷えをいつのまにか感じなくなっていたのです。

ところがです。
この冬は、例年よりも寒さが厳しいですよね。
年明けに、生まれて初めて水道管が凍結するという経験をしました。
そして久しぶりに感じる下腹部の冷え。

昨年末から徐々に冷えの兆候が現れていました。
そのことを友人に話したら、春ウコンがいいよと分けてくれたんです。

こんなパウダー状のものです。

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因みに私が分けてもらったのは種子島の名越ウコン農園のもの。
自ら培養した乳酸菌を使って無農薬・無肥料で栽培しているそうです。
種子島では唯一、栽培から乾燥、粉末加工まで一貫して行なっている老舗メーカーとのこと。


ウコンって、お酒を飲む前のドリンクとして有名ですよね。
でも逆に肝臓を痛めるという話も聞きます。
素人判断で安易に飲んでしまって大丈夫なのかなぁ・・・。
そんなこんなで、しばらく飲まずに眺めること数日。

いよいよ本格的に寒くなった年明け、身体が悲鳴を上げ始めたので、春ウコンの是非について、販売している代理店に電話をかけて聞いてみることにしました。

すると、春ウコンと秋ウコンはそもそも違う種類の植物で、肝臓に負担をかけるのはクルクミンの含有量が高い秋ウコンの方とのこと。
秋ウコンは身体を冷やし、春ウコンは温めることも教えてもらいました。

それを聞いて、以前マクロビオティックをやっている人が「カレーは身体を冷やすからお盆を過ぎたら食べない」と話していたのをぼんやりと思い出しました。
あれは秋ウコン、つまりターメリックを使っているからなのかも。

下の表は熊本大学薬学部のサイトからお借りしたものです。

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秋ウコンは中国の植物名では姜黄、春ウコンは鬱金。
ところが、根茎の部分の日本での生薬名は逆転して秋ウコンは鬱金、春ウコンは姜黄。
中国での生薬名となると、根茎と塊根に分けられ、根茎はどちらも姜黄、塊根はどちらも鬱金となり、頭が混乱してしまいます。

同サイトを読み進めると、ウコンは身体を冷やすと書いてありました。
しかし、春ウコンについては記述がありません。

春ウコンは本当に身体を温めるのかな?
他のサイトもあちこち当たってみたものの、中国名と日本名の呼び方が原因で私と同じように混乱しているところが多いのです。
わかりやすく、しかも納得のいくサイトがなかなかヒットしません。

ようやく見つけたのが「日本専門薬局同志会 五臓と未病研究会」のコラムです。

これによると、ウコンの仲間には代表的なものとして、
①ウコン(秋ウコン)
②キョウオウ(春ウコン)
③ガジュツ(紫ウコン)
がある。
いずれもショウガ科の薬草で気血の巡りを良くし胃腸や肝臓の働きを助ける働きがあるが、①には身体を冷やす寒の性質が、逆に②③には身体を温める温の性質がある、ということでした。

今、薬膳や中医学に興味を持っている友人知人の間で、韓流ドラマ「チャングムの誓い」を見るのがブームになっています。
私ももれなくハマっているひとりなのですが、先日見た回で、医女を目指すチャングムが生薬について勉強しているとき、薬に「良い、悪い」はないということに気づく場面がありました。
つまり体質や状況によって使う薬草が薬にも毒にもなる、ということです。

私の場合は冷えているから春ウコンの方が合っていますが、身体に熱を持っている人は秋ウコンの方がいいということです。

ただ、五臓と未病研究会のサイトで秋ウコン摂取の際に注意が必要なこととして、秋ウコンは鉄分含有量が多いため、肝炎や肝硬変など肝機能障害を持つ人はかえって肝機能を悪化させる恐れがある、その場合は鉄分の少ないウコン製剤をとったほうがいいと書かれていました。
クルクミンが肝臓に負担をかけると理解していましたが、そういう訳ではなさそうです。

ともかくも、冷え症で特に肝機能に問題がない私は、下腹部の冷えを意識しなくなるまで1日2回、それ以降は1回の摂取は問題なさそうです。

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チャングムの誓いは、山菜、野草好きにも面白いお話です。



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なな艸 (ななくさ)
野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。