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雑記帳② カップラーメンの脳みそ
今年30歳になった息子がまだベビーカーに乗っていた頃、私は江ノ電沿線に住んでいました。
彼が生後2ヶ月の春に知り合いのいない町に移り住み、慣れない子育てでアップアップだった当時のことは、今思い出してもほろ苦いような気持ちになります。
昼間は誰とも話さず、日当たりの悪いアパートで密室育児。
少しづつ、少しづつ、自分では気づかないうちに心のコップに澱が溜まり始め、半年経った頃、それが溢れ出してしまいました。
限界でした。
夫に、1ヶ月に一度花を習わせてほしいと頼みこみ、出産前に習っていたフラワーアレンジメントの先生に電話をかけて、近所で習える場所がないか訊ねると、
「母親になったのに習い事をするの?!」とやや避難めいたひとことが返ってきました。
「お母さんになったら、自分の好きなことをしてはいけない。」
そういう考え方が一般的なのだと感じました。
その頃、私より上の年代の女性の価値観はおおかたそんなものだったのだろうと思います。
でも、そんなこと言われたところで、このままの生活を続けてたら自分が壊れてしまうので、あとには引けません。
藤沢駅近くに、フラワーアレンジメント教室を見つけ、月に1度息子を保育ルームに預けて通うことにしました。
お教室の日は花が習えるという嬉しい気持ちが半分、息子を自分の都合で保育ルームに預ける後ろめたさ半分という、何とも複雑な気分でした。
社会の一般常識から外れている自分、子供優先にできない悪い母親の自分。
今の子育て事情がどうなっているのか詳しくは知りませんが、その頃は保育付きでお母さんが学べる場所は殆どなかったように思います。
でもある時、鎌倉駅から徒歩数分の場所で、保育付きのカラー講座が開かれるという情報を見つけたのです。
もちろんすぐに申し込みました。
これは保育付きなのだから、自分の学びに後ろめたさを感じなくても良いんだ!という喜びでいっぱいでした。
ところがですよ、今、当時のことを思い返してみても、実は講座の内容をひとつも覚えていないのです。
その日、カラーのお話の前に講師の先生が雑談的にお話ししてくれた内容ばかりが、深く印象に残っています。
「現在、キレる子供が多いけれど、それは食と大きく関わっています。
例えば、毎日カップラーメンを食べた子供がいたとしましょう。
その子の脳みそはカップラーメンでできているのです。
毎日ちゃんとお母さんが作った食事を食べている子と、カップラーメンを食べている子では、脳みその働き方も違ってきます。
ちゃんと考えられずキレてしまうのも当然のことです。」
要約すると、そのような内容でした。
「You are what you eat」
この言葉は、それから15年ほどあとにクリスマスリースの展示販売をさせていただいていた、Kamakura24sekki というパン屋さんのホームページではじめて知りました。
カラー講座で聞いた内容と同じ意味の言葉ですが、私には「カップラーメンでできた脳みそ」というのが、あまりに衝撃的でより印象深いのです。
結婚当初から食には気をつけていて、オーガニック食材の宅配を利用していましたが、その時改めて息子の食事はちゃんと作ろうと深く心に刻んだ出来事となりました。
自分のやりたいことは我慢ができない母親だったけれど、ご飯だけはちゃんと作ったよなぁ、とそこだけは自負できてます。
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![なな艸 (ななくさ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/67230060/profile_ac81fec795ae62129e4584115f5c7ac2.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)