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エンドロール
始まりがあって終わりがある。
終わりがあって始まりがある。
永遠は見当たらない。
帰り道。
ふわっと髪の毛が揺れて、思わずマフラーに顔をうずめる。
慣れ親しんだこの空気も、
もうすぐ、
思い出に変わる。
この景色も、この匂いも、この温もりも、
手放すことを決めたのは自分なのに。
鼻の奥がつんとなる。
どうして人は終わりが見えると、思い出づくりに走るんだろう。
いつだって、終わりはいつもすぐそばにいるのに。
今日が、この瞬間が、物語のエンドロールじゃないなんて、誰も言ってないのに。
だけど、だけど、
見なくていいときは見たくない。
昔から遊園地が少し苦手だ。
いつか、帰らないといけないから。
終わりを想像してしまって、足が重くなる。
見なくていいものは見なかったことにしたい。
永遠なんてない。
だから、せめて、信じていたい。
今日が最終回じゃないって信じて、
いつかくる終わりには見て見ぬふりをして、
この瞬間を全力で楽しんでいたい。
そんな風に都合よく生きていたい。
これはわがままなんだろうか。