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『THEゴールデンコンビ』が切り拓く即興の新境地。笑いの熱戦を見届けた感想。

本日は、お笑い界のオールスター戦『ゴールデンコンビ』を語らせてほしい。


番組では出演者が即興コントで最強の新コンビ=ゴールデンコンビの座を競い合う。

髙比良くるま(令和ロマン) × 野田クリスタル(マヂカルラブリー)
せいや(霜降り明星) × 秋山寛貴(ハナコ)
堀内健(ネプチューン) × 屋敷裕政(ニューヨーク)
長田庄平(チョコレートプラネット) × じろう(シソンヌ)
澤部佑(ハライチ) × 真栄田賢(スリムクラブ)
平井まさあき(男性ブランコ) × 堂前透(ロングコートダディ)
サーヤ(ラランド) × KAƵMA(しずる)
津田篤宏(ダイアン) × 永野

https://youtu.be/svSTBaJbFBQ?si=IONveSQ9DdRCRjlA

ちなみに、私の番組視聴前の推しコンビはくるま&野田ペアで、優勝予想は津田&永野ペアだった。(わたしの普段見ているコンテンツを知っている人なら納得の推薦ペアである。)

出演者のそれぞれについての所感を述べる前に言っておきたいことがある。

初めに、セットが豪華で感動した。ココリコミラクルタイプや、はねるのトビラなどTVでコント番組が盛んだった時代を過ごしてきているので、豪華なセットのコント番組が好きだ。私にとって、豪華なセットは“血肉”そのもの。こうした番組を求め、今日まで彷徨い続けてきた。

変わるがわる様々なセットやシチュエーションで、今をときめく芸人さんたちがコントをしている様子を見ただけで、その華やかさや懐かしさのあまり、目頭が熱くなった。それと同時にKOCやM-1といったもはや伝統的な賞レースとは違った新たな戦いが幕を開けることに対して、

畏敬の念が芽生えた。

まずは、ありがとう。


この気持ちで各コンビに対しての感想を述べていきたい。


髙比良くるま(令和ロマン) × 野田クリスタル(マヂカルラブリー)


「どうせまた…優勝だな。」
という俺様セリフで登場し、登場シーンからすでに“優勝確定”ムードを纏っていたくるま&野田コンビ。冒頭のかっこつけ台詞を冗談で終わらせない、脅威のお笑いパワーで大会を最後まで盛り上げたふたり。かっこよかった。まずは盛大な拍手を。そして膨大な賛辞を送りたい。数々の賞レースを軒並み優勝してきたお笑い怪物たる2人だが、どちらもボケということで、どのような戦いを見せるのか不透明な部分もあった。

ロジカルなくるまさんが、長時間に及ぶ戦いの中で「ロウソクを食べる」というフィジカルぼけで、大ウケを掻っ攫っていったシーンで、彼らの優勝への一手はほぼ決まったなという感じがした。まさに燃え尽きるその時まで、笑いを追求し続けるその姿勢に、胸打たれた。

カットされている部分も多いと思うがこのふたりに関しては、たとえあまり盛り上がらなかった場合でも「回復力」も備わっていると思うので、盛り下がらずに回復して次の戦いに挑めた点が優勝できた要因なのではないだろうか。

もう2人とも、趣味の欄に「優勝」って書いて欲しい。

せいや(霜降り明星) × 秋山寛貴(ハナコ)


仲良し二人組ということで、微笑ましく楽しませていただいた。最初の病院ステージのナース同士でのやり取りは即興とは思えないほど完成していたのでワクワクした。あらかじめ用意されたかのようなキャラの自然さと仲の良さに、つい笑顔がこぼれた。

その後は、切り取られ方の妙だと思うが、、武田鉄矢多め。おそらくその時に、会場で受けていたのだろうけれど、もっともっと2人のバリエーションを見ることができたら嬉しかった。

堀内健(ネプチューン) × 屋敷裕政(ニューヨーク)

堀健さんの爆裂大喜利と屋敷さんの絶妙な引き、どちらも“お笑い台風”のごとく予測不能な展開で会場を唸らせた。

ところどころ、堀健さんが大喜利強すぎるのが面白かった。特に学校ステージの変な部活で「土砂降りバーベキュー部」とボケたときは声を出してわろた。屋敷さんの降りる芸も、当日の会場審査のムードには、最適解だったんだろうなと思う。後半になるにつれて、ちゃんとコンビになっていくさまが番組の趣旨に合っているし、欠かせないエッセンスとなっていた。

長田庄平(チョコレートプラネット) × じろう(シソンヌ)


チョコンヌとして、長年一緒にコントをやり続けている2人だからこそ、阿吽の呼吸で挑戦できたんだろうなと思う。熟練の息の合った2人。瞬発力重視のこの大会では一歩控えめに映ったかもしれないが、“じっくり型”の二人もコンビネーションは、まるで熟成したワインのような味わいがあった。

じろうさんに関しては、KOCの審査員も務めていた上で、即興のお題で滑るかもしれないことをやる覚悟がかっこいいなと思った。

澤部佑(ハライチ) × 真栄田賢(スリムクラブ)


みんなにとってもそうだったら嬉しいが、個人的優勝はこの2人。

クセスゴでは、すでに千鳥を前に、その尖りの片鱗を見せていたスリムクラブ眞栄田さん。彼の「クセ」に対して圧倒的なプレーンさで返せるハライチ澤部さんとのタッグは、まさにゴールデンだったと言えよう。

もはや“クセ芸”の極致といえよう。

この番組内で一番好きだったボケは月面ステージでの

「アメリカは負けないから」

というボケだった。

ちょうどアメリカの大統領選の時期だったので、トランプ当選に落ち込むブルー地区のアメリカのみんなに見せてあげたい光景でもあった。きっとみんな自ずと笑顔が溢れ、少しは元気を出してくれたことだろう。

信念を狂気で包み込みながら貫くプレースタイルに全お笑いフリークが痺れた。あっぱれである。即興なのに、全てのボケがはまってた。圧倒的なクセで視聴者を魅了した眞栄田&澤部コンビ、上位には食い込めなかったが、見ている人々の心に功績を刻んだので、今後の動向にも期待したい。

平井まさあき(男性ブランコ) × 堂前透(ロングコートダディ

正直、座王に強すぎる堂前さんを召喚するのはチートに近い。あらゆる即興に打ち勝って来たのだから、そりゃあ、この形式の戦い方もお手のものだろう。いやあ、なんかずっと面白かった。おもしろの平均点がずっと高かった。

座王で鍛えられた堂前さんがチート級の即興力を発揮し、平井さんのキャラともうまく噛み合って、印象深いワードボケ“軟式野球見学部”で笑いをかっさらいった。あの瞬間、もはやこの2人の“無敵モード”に入ったと思った。

一番面白くなかったコンビニに投票するスタイルなので、目立って滑ることをしないこのふたりにとっては好都合だったなと思う。印象に残るワードボケもさることながら、大会を通して死角のない面白さを供給し続けたお笑い体力の多さにも感服である。

サーヤ(ラランド) × KAƵMA(しずる)

サーヤの“ヒスキャラ”が炸裂し、月面でのカップルいざこざシーンで、場内は大爆笑。

一方で、KAƵMAの持ち味がもっと出せたら、残れたんじゃ無いかなと思う。

顔立ちがおぼこさから、少年役やサーヤ演じるキャラに振り回される不甲斐ない男はハマり役なのだが、近年の彼らしい爆発を引き出せていなかったように感じた。それぞれが輝くのではなくて、相乗効果で勝ち上がるバトルなので、その点で、戦いの厳しさを感じるチームもあったと思う。

津田篤宏(ダイアン) × 永野

イチオシだっただけにとても悔しいお気持ち。もっともっとふたりの共鳴を目撃したかった。

唯一無二のピン芸人・永野と、チームワークの達人・津田。孤高のカリスマと息の合う津田との化学反応で、新たな化合物を生み出した瞬間があった。観客の票は振るわなかったものの、彼らの独特な“共鳴”は私の心に残るものだった。

女性シンガーシリーズは、個人的にはツボなのだが、観客審査では票が取りづらい&お互いベテランゆえの遠慮があったのかなと邪推。けれども、元々仲良しコンビ同士が組んで、ほらやっぱり相性よかったでしょ!となるよりも、意外な2人が混ざり合って爆笑を産んだ時のほうが新鮮で楽しい気持ちになれるので、もし第2回があったらまたこの組み合わせで挑戦してほしい、という気持ちもある。

永野さんには”浜辺で九州を守る男”、”富士山の山頂から犬を放つ男”などの数々のコント名作があるのでこれからもご活躍を楽しみにしていますし、ぜひまた新宿レフカダでライブしてください、絶対に観に行きますから!

ちなみに、こちらがお笑いナタリーによる永野さんへのインタビュー。「外資系が関わるとスタッフもアッパーなんだな。」という事前の感想が永野さんらしくて笑った。あとまさかの、陣内の乱の翌日だったなんて衝撃。

おわりに


改めて、楽しい時間をありがとうございました。

出演者、MCの千鳥、スタッフ、そして番組を発案したプロデューサーの皆様、お笑いが国境を越えて広がる、この新たな一歩をともにできたことを誇りに思います。

今回は盛大なプロモーション活動の甲斐あって、お笑いファンはもちろんこと、お笑いファンではない人も、この番組にたどり着いたのではないだろうか。豪華なゲストを呼んだことには賛否の声が散見されるものの、さまざま層の視聴者が閲覧するきっかけとなったため、私は賛成している。

個人的に、日本のお笑い業界の更なる発展を切に願っているので、

この番組がAmazonを通じて世界中に発信され、未来のお笑い文化の礎となることを願ってやまない。

垂涎のノーカット完全版も楽しみに、これからも日本のお笑いが羽ばたいていく姿を見守り続けたい。


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