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佐藤初女さんのおむすびを結ぶ
初女さんのおむすびを結ぶ会に参加
「食べることはいのちのうつしかえ」。
何度味わっても深く沁み入る言葉。青森で「森のイスキア」という悩み苦しんでいる人が訪れる場所で、優しい手で食べ物を作り、人に生きる力を与えてきた佐藤初女さんの言葉。
20代の頃、佐藤初女さんの本や、映画「ガイアシンフォニー地球交響曲」に出会って以来、忘れられない言葉の一つだ。
初女さんのようにおむすびを結べるようになりたい。各地で初女さんからおむすびの結び方を習った方々が講習会をされているのは知っていたけれども、なかなか機会がなかった。
今回、その機会がやってきた。
富山市の中心地を流れる松川の遊覧船が出る場所にある「松川茶屋」さんで、「風の薫り」という手作り料理の活動をしていらっしゃる浅野恭子さんが、立山町でお米を自然栽培されている白雪農園の坂口創作さんと共に、「佐藤初女さんのおむすびを結ぶ会」をされるとのこと、参加させてもらった。
桜の時期にはたくさんの人が遊覧船に乗る松川。私も乗って、桜を堪能させてもらったことがあります。その遊覧船の乗り場にある松川茶屋さんは、中に入っても川の流れを感じ、まだ葉の残っている桜の木と赤い和傘が窓から眺められてなんとも雰囲気がいい。その中で、土鍋2つ、圧力釜2つ、ご飯が炊かれている。参加者の席には、一つづつ、味のある木のまな板。見るからに美味しそうな梅干しと、しゃもじ、お手拭きなどもセットされていて、始まる前からワクワク。
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今日のお米は白雪農園さんの自然栽培のコシヒカリと亀の尾。塩は能登の塩。
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まずは浅野恭子さんのおむすびの実演。
「美味しいおむすびを作るには、炊いたご飯を返す、茶碗に入れる、その茶碗を返してご飯をまな板にポンと置く、ここまでで7割が決まります」との言葉に衝撃。
結ぶ前が7割。
おむすびを結ぶときは
ご飯はそっと集めてあげる、ご飯の一粒一粒を感じながら。
恭子さんの一つ一つの所作、手が暖かくて、優しい。見惚れてしまうほど。
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佐藤初女さんのおむすびはレシピにはしないで、「人の手から手へ伝えてね」と初女さんに言われているそう。
参加者もみな、恭子さんに教わったように丁寧に、結んでいく。ご飯一粒一粒の感触を感じながら心を込めて自分のためにつくるまんまる海苔おにぎり。なんとも愛しくなってくる。
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恭子さんが作ってくださったおかず、卵焼き、富山ポークのロースト、胡麻和え、鮭のつけ焼き、富山県さんの里芋もお皿に盛り付け。紅葉とイチョウの形の人参や南天の葉も使って、自分のためだけに飾っていく。蓮根のお団子の入ったお吸い物もいただいて、立派な御膳に。
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参加者の方々も、皆、素敵な人たちばかりで、白雪農園さんや、玄米おにぎりを作って販売されているミスター玄米さんともお話しできたのもとても楽しかった。
会の終わりには、この企画をされた松川まちなか水辺遊びの中村志保さんの思いやこれからの素敵なプランを伺い、わくわく、楽しい時間となりました。
「亀の尾」について
白雪農園さんが「亀の尾」を販売していたので、購入。「亀の尾」という米は私にとって思い入れのある米です。私は大学院卒業後、当時、東京にあった食品関係の団体に就職したのですが、そこで、一番はじめに上司に言われたことの一つが、「『夏子の酒』を読んでおいて。」でした。12巻の日本酒に関する尾瀬あきらさんの漫画。
この漫画では、主人公の夏子が、兄が病気で倒れたのをきっかけに東京から新潟に帰省し、実家の酒蔵を継いで幻の米「龍錦」を復活させ酒を造るという物語。この酒蔵のモデルは、新潟県長岡市の久須美酒造で、この6代目当主氏は幻の米「龍錦」のように、「亀の尾」の復活のために奮闘。
「亀の尾」は、1890年代に冷害による米の不作に悩まされていた山形県で、米農家の阿部亀治氏が冷害でも元気に実を結んでいる3本の稲穂を発見し、研究を重ね、品種改良と量産に成功した品種。阿部亀治氏の名前から「亀の尾」と名付けられた。亀の尾はその後、各地で生産され、酒造りにも使用された。しかし、1920年代以降、徐々に作付面積が減り、1970年代には栽培が途絶えてしまった。その後、この漫画『夏子の酒』で注目が集まり、今では各地で生産され、お酒も作られるようにす。
亀の尾は、味的にはササニシキのようにさっぱりしていて、和食に合う、たくさん食べても飽きない味のお米だ。
白雪農園さんは、私が前々から一度訪れたいと思っていた農園の一つで、8年前に立山町に移住されて、自然栽培でお米やさまざまな野菜を作ったり、ポニーを飼ったり、ゲストハウスをされたりしながら、人と人を繋げる活動もされているそう。近いうちにぜひ、農園の伺わせて頂こうと思っています。
2日後、家でもう一度、おむすび結んでみました
習ったことは復習しないと忘れてしまう。。。
亀の尾を土鍋で炊いて、習ったことを一つ一つ思い出しながら心を込めて結びました。
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恭子さんに「結んだおむすびはさらしで包んでおくと美味しいですよ」と、さらしの布もお土産にいただいたので、家族の分はこれで包んでおきました。美味しく食べてくれるかしら?
さて、自分の分は。。。五箇山のあかかぶのお漬物と一緒に、お昼ご飯に。
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ああ、、、、美味しい。
土鍋で炊いたご飯は、一粒一粒が綺麗に立っていて、その一粒一粒にちょうどいい加減の塩。上と下から2枚の海苔でくるんで、布の下でしばらく寝かせておくと、海苔が少し縮んで結んだおにぎりとピッタリくっついてくれる。海苔にも塩味がまんべんなく馴染んで、我ながら、ああ、なんていいおむすびが結べたのだろうとじんわり。
20代の頃から憧れていたおにぎり、初めての就職先での『夏子の酒』亀の尾のこと、色々なことがあって、今、私が結んだおむすび。それを美味しいなあと味わえる今、ここ。じんわり、じんわり、沁みます。ありがたい。
ありがとうございます。
初女さんのおむすびに近づけるように、私はこれからもおむすびを結んでいきます。