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古典系物理についての直感的洞察。パート2


ブライトという若い女性がいた。
光より速く旅することができた。
ある日、相対論的に出発し、
その前日の夜に帰ってきた。

『1, 2, 3…無限大 (One, Two, Three… Infinity)』より。



あなたは今、熱心なビリヤード狂だ。ものすごい勢いで玉ツキに興じているとしよう。ツき人(pork bro)といったところだろうか。ツイた玉は、一つ、三つ、七つと、美しく配置された玉の群をかき乱し、すべてが熱微粒子のようにバラバラと台の上を転がっていく。熱粒子がエントロピーの増大に従いながら、フラフラと動きまわる過程は、ビリヤード台を前にして、あなたが熱狂している乱雑さに似通っているのだ。

ビリヤード玉が運動する過程について。その確率偏微分方程式。
熱粒子の微分方程式。

→確率項(P.D)と外力項(η)が方程式に非線形性を与え、解の導出を難しくしている。

熱力学の運動方程式は、統計的な性質に依存するとよく知られているが、古典力学についても、剛体が"とてもなめらかな"平面で運動する場合(リフシッツ条件)、解の導出は難しい。ゴールドステインの著書『古典力学』に依拠すると、なめらかな平面上の運動は、以下の保存則に縛られるという。

• 運動量保存則
• エネルギー保存則
• 角運動量保存則

ただし、これらの保存則は解析を簡単にする一方で、非積分可能系では"どうやっても解を得られない"のである。微粒子力学と同様に、古典力学のモデルについても、やはり全てを物理学のモデルで単純化するような"積極的な答え"は今のところ存在しない。すると、量子力学はどうか。もっとも知られているように、よりモデルの挙動が怪しくなる。関数が確率的なので、もはや古典系が解決できなかった問題を受け入れてしまったも同然である。そう考えると、現代物理学の面白さは、"古典力学がなぜ矛盾を起こすのか、また完璧でないのか"。この強い命題矛盾が、どんな理由から生まれてくるのか。それを示したことにあるのではないか。だから、量子論は注目されるのである。昔からずっと気にしていた問題なのだから。つまり、無論、新しいものではない。多体問題の非線形性は、数学者、物理学者を苦しめる呪いみたいなもので、今なお多くの仮説がこの多体問題によって生まれ、滅ぼされているらしい。誠に恐ろしい話である。



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