キンモクセイの香りとブリ大根|日記
帰り道、キンモクセイの香りがした。
あ、キンモクセイの香りだ!
と思った次の瞬間には、かなり意識的に大きく深呼吸をしていた。
立ち止まって嗅ぐほどではない、が、もう少し嗅いでいたい。けど歩みを止めることはできない。という二律背反の中で選んだのが深呼吸であった。
キンモクセイの香りは街中に香っているわけではなく、街のある一定の範囲、エリアでするように思える。
ここの通りは毎年キンモクセイの香りがするな、とかそういった具合である。年ごとにその香りの発生源が変わるということは、ほとんどないのではないだろうか。
キンモクセイの香りには、秋という新しい季節の到来を祝福するという意味もある。
お、キンモクセイの香りがするね。秋だね。
といった具合だ。
そういう意味では、すごくいい役回りの植物だなあとも思う。
これが臭かったらみんなに嫌われるし、秋かよ・・・と非難がましく扱われるだろう。
見た目もあまり派手でなく、わかってますよ感のある地味さである。
とにかく、みんな大好きキンモクセイだが、巷にはキンモクセイの香りのシャンプーやらハンドクリーム、ルームディフューザーなんかが溢れかえっている。
これはとにかく悲しい。
キンモクセイは街で歩いているときに、フワッと香る、その偶発性と刹那的な佇まいがすてきなのに…と個人的には思う。
まあ、上記したように、とにかくプラスの印象しかないであろう香りを商品に使わない理由もないんだろうけど。
そんなこんな、ごちゃっと書いてはいるが、とにかくキンモクセイの香りがして幸せな気分になった帰り道だった。
家に帰ってからはブリ大根を作った。
ブリを霜降りして、大根は生の米と一緒に炊く、と一定のしっかりしたプロセスを踏んだブリ大根である。
レンジで時短!みたいなものではない、ちゃんとしたブリ大根を作りたいと思ったからだ。
美味しく、上品な味にはなったが、時間がかかりすぎてしまった。これならまあ時短レシピでもいいかな、なんて考えてしまう。
でも、ブリのカマをガッツリ使ったブリ大根は見た目も楽しかった。
ここまで書いて、キンモクセイとブリ大根に何か相関関係はないか、考えてみたが、何もなかった。
どちらもいい匂いがする、という共通点はある。
ブリは冬が旬だしな…。今度は冬に作ろうかな。
おしまい。
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