吹きもどる文字盤
光沢の二月の奥を雪の窓
風の木のながれて春は飴色に
目には水銀川に実れば鱗族の
玻璃の托卵春を十三年まはり
糸車花の終はりを藍が掃き
◯
巻きもどる雨はひかりの鱒を出し
風切の手を裏返し春をまた
蜜蜂よ草むらは揺れながら火で
虹は球体もとの魚の晴れとなり
◯
ゆめぎはのけばだつ湖をとほく犀
◯
繭は夜をつなぎあはせて花だつた
*************
縦書き版はこちらにあります
http://poecri.net/ItemDetails.php?item_id=115