お揃いの包丁とかなこさん
嫁ぐ時に母とお揃いで包丁を買いました。
暮らしの手帖の巻末に載っているロイヤルホテル監修の包丁です。嫁いでから約20年ずっと愛用しています。
忘れてたんです。
暮らしの手帖で買ったことを。
かなこさんのおかげで思い出したんです。
かなこさんのnoteには「すてきなあなたに」という記事がありました。その題名と冊子を見て懐かしい思い出が蘇ってきました。
暮らしの手帖は海外の暮らしや家電の比較、ロイヤルホテル監修のレシピ、編み物や手芸など暮らしに関わる様々な提案とアイデア、時事ネタが載っている雑誌です。
結婚が決まって、母がこの包丁はどう?と急に言ってきたと思います。
嫁入り道具に考えていてくれたのでしょう。1万円する包丁でした。
母も買うことになり、お揃いの包丁になりました。
あれから20年。
母が今年1月に亡くなり、noteを始めてかなこさんと出会い、包丁のことを思い出しました。
4月平日。
仕事で実家近くまで用事があったので、昼休みに父の顔を見に寄りました。
母の包丁を形見にもらっていいか聞くと、
誰も使わないからいい
と言うので台所で包丁を手に取ると、近くに同じブランドの小ぶりの包丁がありました。それは兄嫁が使っている包丁でした。この包丁は暮らしの手帖でしか販売されていない包丁です。
咄嗟に兄嫁に断りもないまま持ってきてはいけないと思い、元にあるところへ戻しました。
父が亡くなってから、改めて兄嫁に包丁をもらっていいか聞くと快くどうぞと言ってもらえました。
小ぶりの包丁のことを聞くと、たまたま家にあったので使っただけとのこと。
母の包丁は一度も使わなかったそうです。
包丁を家に持ち帰り、私の包丁と比べてみたときに愕然としました。
刃はすりへって、持ち手に何かたくさんついているかのようにボコボコしています。刃にところどころ錆びた点もありました。
刃を研げば短くなるから使い込んでいるとは言え、何かおかしいです。
柄の部分を磨きました。なかなか落ちません。
金だわしでこすったら、やっと落ちました。
包丁は洗うと水で流したあと、拭き取ることもなく包丁スタンドに置いていたようです。
あー、あんなに清潔だった人が。
目でも悪くなったのかな。
たくさん想像しました。
刃は研ぎすぎて湾曲してしまっています。包丁を研ぐのは父の仕事です。
力ずくで研いでいたのでしょうか?
真っ直ぐ切れなくなっていました。
そんな包丁を黙って使っていた母。
涙が出てきてしまいます。
老いても相手を想いやっていたんだと。
包丁のことを思い出させてくれたかなこさん。心からありがとうございました。
もたもたしていて御礼が遅くなりました。
父の最期には、
「父の遺言状」https://note.com/ironman2/n/nf4b732a39a15
この記事に背中を押され、コロナで会えなくても迷うことなく父のもとへかけつけることができました。
かなこさんの記事にいつも勇気づけられ、圧倒されました。読書をしない私は恥ずかしくてそばにいきがたく、コメントもしなくなっていきました。
父が亡くなってからnoteの更新が滞り、久しぶりに昨日noteを読み始めると、かなこさんがnoteをおやめになる記事が目に飛び込んできて、とうとうこの日が来てしまったのかと寂しい気持ちになりました。
かなこさんは、強い意志で初志貫徹され、望みを叶えられました。
今日7月27日にアカウントを削除されました。
ご本人に想いを届けられず申し訳ない気持ちでいっぱいですが、優しい気持ちで見送ります。
今後のご活躍をお祈り申し上げます。
namisato
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