見出し画像

私にとって鍼灸の仕事は、人間観察でもある。

私は今、鍼灸師として働いていますが、
時々、これは、体の問題ではないと感じる事があります。

しかし、単純に、心療内科に行くべきというものではなく、
なんと説明したらいいのか、考え方の癖とか、
思考の習慣が、痛みや辛さを作っていると感じる時もあります。

それを、患者さんにうまく説明できなくて、
落ち込むんだけれど。


そして、良くなる時まで、ちょっと気長に待てると
良くなるのかもしれません。

今は、ネットがあり、いろんな情報があり、病院の口コミもあり、
Twitterなどの実際の患者さんの声も知ることができるので、
あれこれ試したいという気持ちになりがちです。

もちろん、手術なんかは、医師の腕によるところも大きいでしょう。

しかし、慢性病の場合、ゆっくり家で療養する時間も必要だと思います。
あちこちの病院を転々とするのは、疲れるし、よくない事も多いです。

最近、半年で、うちが6つ目の鍼灸院です、という方が来られました。
どの鍼灸院でも、あまり改善しないということでした。

症状は伏せますが、初回の施術を終えたあと、
体のバランスの悪さや、足の冷え、お腹の固さなどを説明し、それが、改善できたら、症状も消えていくでしょうし、それには、時間がかかると説明しましたが、次回のご予約はありませんでした。

不安がいっぱいなのは、こちらも分かりましたが、
鍼灸でできることは、体を整える事だけです。
カウンセラーや心理士ではないので。

しかし、ただ、体を整えることに専念することが、逆にいい時もあります。

もう何年も前ですが、患者さんのお宅に行かせていただいていたことがあります。

その方は、だるさで、家事もままなさないという女性の方でした。
家は散らかっていて、物も多かったです。

そして、別に住んでいる息子さんの、彼女さんの愚痴を言いまくるのです。

聞いていて、こっちもしんどいなーと思っていましたが、さえぎらず、「そうなんですか」と聞いていました。

数カ月経って、徐々に、体がましになると、玄関が片付いていました。

そして、彼女さんが、母の日にカーネーションをくれたと言うのです。
愚痴は少なくなりました。

体が楽になると、心も軽くなるんだと、教えられました。

逆に、しんどいときは、愚痴りたくなるものです。
(病気じゃなくても)

いかに、体をよい状態に保つかが、精神的にも大切だし、
体に不調があっても、強い心が保たれれば、深刻にはならないと
思います。

そういう意味で、私は、患者さんを観察させていただいて、
勉強させていただいています。

感謝です。

いいなと思ったら応援しよう!