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体を張って語学習得観察日記④

 さて。この「自分を使った実験」の当初の目的通り、365日アプリだけでインプットをし続けたらお次はオンラインレッスンでアウトプットを始める。いろいろなオンラインレッスンを見てみたけれど、あまり最初から飛ばしたくなかったから手軽に始められるもの、としてカフェトークでの体験レッスン受講を決めた。

講師選びのポイント

 いろいろな語学系オンラインスクールを見て来たけれど、結局「自分で動く」モチベーションがあるならばカフェトークが良いと思う。膨大な数の先生の中から自分のニーズやキャラクターに合う方を探す労力と、レッスン予約の労力。自分の学びをしっかり管理できる余裕があるならば比較的安価で良い先生と出会える。

 いろいろな先生のプロフィールや展開しているレッスンを見てみた。スペイン語だけで100近いレッスンが展開されていて、気が遠くなりそう。でも根気よく探してみる。紹介ビデオを見ていると先生の話し方や表情も確認できたので、その中でも話してみたいと思った先生の体験を受講することにした。

 語学講師の私ではあるけれど、自分で先生を選ぶ時には実際何を見て決めているんだろう。私の場合はキャラクターはもちろんだが、その時自分が求めているものを持っているかどうかを重視する。
 例えば私は「英語で」スペイン語を学びたいと思っているので、日本語話せますアピールをされている人は外していく。もちろん日本人の先生も外す。話し方が丁寧、表情が柔らかい、話し言葉が聞き取りやすい…なども大切。後は実際体験レッスンの時の感触で決めたいと思う。

 ちなみに私が体験レッスンで重視するのは、こちら。

●相手に話させているか
●相手が考えているのを待つ間の取り方、絶妙な助け舟や説明
●説明の際に例文をたくさん挙げて理解を促すか
●十分な練習をするか
●相手のレベルに合った質問をたくさん持っているか、また相手が答えた時のリアクションをきちんと取れるか

 以上は私が語学講師をしながら自分で気をつけていること。語学講師は相手にその言語を感じさせ、想像させ、相手が「出来るかも」という手応えを感じられる様にレッスンを動かす必要がある。
 日本語の説明ばかりで学習者が「わかったつもり」になるのは危険。自分で実践させてみて、確かな手応えを感じさせないと自分で前に進むことは不可能。先生が陥りがちな「私がいないとこの人、何も出来ないの...」というマインドは不要。最初から自分がいなくなっても独り立ち出来る未来を想像して伴走してくれるのがベスト。

体験レッスン

 そんなこんなで体験レッスンにこぎつけた。Skypeレッスンで、Hola.から始まり簡単な会話をした。体験レッスン20分の間先生に尋ねられたのは、名前や出身地、仕事など私に関する一般的な質問だったけれど、40年振りに新しい言語を初めて話す側になってみて気付いたことを書いておこう。

●インプットの段階で何度も目にして十分覚えている表現でも、言葉にされて目の前の人から投げかけられたら、全く意味がわからない言葉に聞こえてパニくる。パニくっていたら先生に英語で説明されて「あぁ〜それだったのか〜」と。再度聴いてみて、なぜさっき聞き取れなかったのだ、と悔やむ。

●同じ表現を使って何度も言っていると、次第に自分のものになっていく。知っている表現でも実際自分の口に出してみると、全く違う感触があるということを理解する。

●理解して練習、それを繰り返していると20分後にはスペイン語に少し親しみが湧いてきた。それと同時に「次はもっとちゃんと言える様に準備しよう」と思えた。

英語を初めて学ぶ大人の方々の気持ちが手にとる様にわかった。
レッスンを始める際に、リラックスしてもらおうと学校でも嫌と言う程習ってきた "How are you?" を尋ねても、逆に固まってしまわれる学習者がいるけれど、なるほど納得。知っていることと使うことは全く別物なのだ。

それを体験出来ただけでも、このチャレンジには大きな意味があると思う。でもそれだけでは終われない程、私は今回のレッスンで手応えを感じてしまった。楽しい!もっと話したい。次こそは!と早速次のレッスンを予約した。ペースでは2週間に一回。そして30分程度のレッスンを続けて受講することにした。

3つ目の言葉を学ぶメリット

 私は記録をしよう、と体験レッスン時の自分サイドの様子の動画を撮っていた。初めて話す言葉で少しでも意思疎通できたことが嬉しくて娘たちにその動画の一部を見せたら、微笑みながら「これ、人に見せられるのすごいね」と褒められた(?!)実際動画にはしどろもどろになりながら「え?え?」と言いながら奮闘する私の姿が映っていたのだが、私的には大健闘だったと自分で自分を褒めてあげたい気持ち。でも人から見たら、なんとも滑稽な姿だったのだろう。

 そこで気付いた。3つ目の言葉を学ぶメリットとして、2つ目の言葉(私の場合は英語)で随分と恥をかくことにも慣れているし、むしろ恥は栄養だと思っているので、この「人から見たら恥ずかしい」映像も私の目からすると「これからスペイン語をマスターする私の輝かしい第一歩」にしか見えない。実におめでたい。英語を話せる様になる過程で、私はそういう鋼のメンタルも手に入れていた。さ、次はもっともっと先生とおしゃべりを楽しむぞ、ってなわけで今日習った言葉をおさらいしよう。

 この時点では、まだテキスト的なものは使わない。調子に乗って一度本屋でスペイン語のテキストなるものを開いた瞬間、ものすごくモヤーっと嫌な気持ちがしたので、慌てて閉じた。危ない、危ない。私が今している実験は「楽しみながら語学習得」の道なのだ。うっかり苦手なテキストを開いてしまったら、この1年のアプリの努力も水の泡。テキストを開くのは自分の気持ちに任せよう。自分が開きたくなるタイミングを自分で見極めるのも、この実験の大切な部分。とにかく育成ゲームみたいに自分を丁寧に育てるのだ。


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