笑顔の番人④〜日々コツコツ小説Ⅱ
「えっ?!」
『ソウオモフ、ソウオモフ?』
「なにっ?」
しおんは、驚いて辺りを見回したが誰もいない。
「この声一体どこから?」
再度ぐるりと回りながら確認しても人影はない。
「なんだろう、聞こえた気がしたのに」
しおんは少々気味悪がりながら帰路についた。
家に着くとしおんはため息をついた。
「なんかなぁ。」
おもむろにテレビをつけ、再び
「はぁ~」と大きくため息をつくと
しおんは床に寝転び体を丸めた。
目を閉じ、頭の中の回路だけが
しおんの意識とは関係なく動き
ただしおんはぼんやりと体の重さだけを感じていた。
「んっ、ダメダメ、笑顔笑顔!」
しばらくしてしおんは寝落ちしそうな体を
何とか奮い立たせ起き上がると鏡の前に立った。
「に~っ!・・・・・・・
・・・・・・・・・・・変な顔」
そうつぶやきながらも何度も笑顔を作ってみた。
「に~っ!」
「に~〜〜〜っ!」
「にっ、にっ、に~!だ」
「ふっ、ばかみたい」
段々と自分で自分のことを笑えてきて
ようやくしおんは表情を緩めた。
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