笑顏の番人⑩〜日々コツコツ小説Ⅱ
10分位だろうか。
あの子が泣き続けるのをしおんは隣で見守っていた。
言葉はかけずに
時折顔をあげて
涙が止まらないことをすまなそうにするあの子に
うん、うん、と頷くだけだった。
「あ、
ありがとう。
何だか沢山泣いたら
我慢してた気持ちが出てきて
まだ悲しいけど、少し楽になった」
あの子がそう言うと、しおんは
微笑んだ。
「あ。
ごめん、なさい。
また涙が。
あったかい笑顔をありがとう。
いつも励まされてた。」
しおんは驚いた。
『自分が素敵な笑顔に励まされてた、
あの子が。
あの子が私の笑顔で励まされてた
なんて』
『あの子も私と同じだったのか』
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