日々こつこつ小説 〜わらしべ長者になりたくて 第一話
わらしべ長者のお話、好きだなぁ。
あんなことあるのかなぁ
なかなかないよなぁ
ゆうは、そんなことを考えながらぼんやりと窓の外を見る。外は雨が降り出していた。
ゆうはふと閃いたように傘を手に外へ飛び出した。
「これ、どうぞ!使ってください!」
「えっ?」
「大丈夫!私の家はすぐそこですから!」
「大丈夫です、知らない人にそんな!
気持ち悪い!」
え!?
『雨に濡れて困っている人を助ければ 徳を積めば
わらしべ長者のようになれるかと思ったのに。。。』
ゆうはショックで言葉も出なかった。
寂しく背中を丸め家に戻ろうとすると
「あのー。」
背後からの声に振り返ると
「傘お借り出来るんですか?」
「はい、あ、はい!良かったらどうぞ!
お持ち下さい。差し上げます!」
「えっ!!そんな、頂けるんですか?」
ゆうは大きく頷くと、そっと傘を手渡した。
傘を受け取ると、その人は優しく微笑んで
傘とともに雨の中へ消えていった。