20年のときを経て 〜猫ちぐらの夕べ〜
わかる人にしかわからないので、わかる人とだけこの感動を分かち合えたらいいと思って書きます。
2021年最初の更新なのに、のっけからこんな記事で申し訳ない。
今、スピッツ の「猫ちぐらの夕べ」LIVE配信を見終わって
すごく満たされて、幸せな気分で、これを表現せずにはいられないんです。
実はスピッツ のLIVE自体がめちゃめちゃ久しぶり。
放浪は行った、隼も行った、それ以降記憶がない、となるとかれこれ20年。私も40代になっているけど、スピッツ も50代になっている、という事実に愕然とする。
いやあ、でもヤバかった。よすぎた。
まずは20年の隔たりをキュっと埋めてくれる選曲だった。
昨年の11月に新しい様式で開催されているLIVEの録画なので、立ち上がってはダメ、声援もダメ、拍手のみという制限下での開催だったらしい。
その条件下での選曲がにくい。オールドファン(ファンはみんなオールドなんだと思うけど)をキュンキュンさせるめちゃめちゃ渋い選曲。
4曲目の「あじさい通り」で懐かしすぎて、倒れそうだった。中3のとき、受験勉強そっちのけですり切れるほど聴いた懐かしのアルバムの曲。
「ハートが帰らない」も「猫になりたい」も「君だけを」もスラスラ歌詞が出てくるぐらい覚えてるの。あのころのスピッツ が私の血になり肉になって、今も体のどこかにあるかと思うと不思議な感じ。
そしてアンコール後のラストは「ハネモノ」。ウンタタウンタン、のリズムは客席の手拍子に委ねよう、最後はお客さんと一番盛り上がろうとの心意気がにくい。
リビングで一人、毛布にうずくまって見ていたけど、思わず手でリズムを打っちゃったね。
そして一番よかったのは、「円熟」という言葉がしっくりくる演奏とそして草野さんの歌声だった。奥行きが深くて、品良くて。そして草野さんは若いころより声がうんとのびやかだった。ピッチもずっと正確なような気がする。
MCでしきりに「今年はバンドマンとしてのあり方が問われた一年で、自分のアイデンティティを見失いそうだった」という話もされていた。
バンド歴30年の人たちだって、ツアーが中止になって、活動ができなくなって、という日々に不安があったんだと知る。
「きょうライブができて楽しいというよりも嬉しい」「感謝」という言葉以上に、骨太で豊かで味わい深い演奏に、ライブができた喜びが表現されていた。
のびやかに演奏しきった「楓」から一転、「みなと」では、あえて淡々と歌ったように聞こえて、何だかぐっときて、じわり涙が出てきた。
飄々と7割ぐらいの力で、それでいてもガツっと心をつかみにくる。
何これ、この表現者たち。
ああ、私もこの深みがわかるようになったのだな、とふと感じた。
ようやく理解できたのかも、が正解なのかもしれない。
この20年の空白も無駄ではなかったし、人生でもっとももがいてきた20年が私にもあったからこそ、今このリビングの片隅で、遠く離れたLIVEステージの表現に思いを馳せられるのかもしれない。
長野奈美
認定NPO法人マドレボニータ 認定産後セルフケアインストラクター。
1981年1月、名古屋生まれ。前職は新聞社の校閲ガール。
2010年に長女を出産後、ニュースの一線で働くことに悩み36歳で一念発起、インストラクターの道へ。女性が妊娠・出産してもやりたいことを貫ける社会を目指して、啓発活動にも力を入れたいと思っています!
ヨガインストラクターとしても活動中。
家族は夫と3人の娘(小4、小2、年少)。
★担当教室:産後ケア植田教室、千種教室、西三河教室、「産前・産後のセルフケア オンライン教室」