自分を大切に出来ない人 「育て直し」の合図
生まれた時から、親(養育者)から否定的な扱いを受けて育つ人がいます。
子供は親から自分の存在、感情、言動を肯定される事によって、自分には価値が有る、という感覚が育ちます。
否定的に扱われると、逆に無価値感まみれの子供に育ちます。
否定的な扱いとは、自分の感情を否定されること、いつも誰かと比べられること、限界を超えても尚もっともっとと求められること、などです。
どれもその子の存在を否定することになります。
幼少期の早期、一歳~四歳ぐらいまでは、心の中に「自分」という確かな意識の種を撒き、芽生えを待つ時期です。
この時期の子供にとって、親から肯定されることが、芽が育つために必要な水分であり、養分と言えます。
否定されると、その子の心の中の「自分」は育ちません。
「自分」が育っていない子供には、安心感がありません。
表面的には体裁よく振る舞っていても、心の中は焦りや不安でいっぱいです。
否定的に育てられることで、自分の感情をいけないものだと感じ、他者よりも優れなくてはならないと感じ、限界を認められなくなっているのですから、焦って当たり前です。不安なのは当然です。
この子の心の中には「自分」が無い代わりに、「親」が居座っています。
いつも、感情を否定し、何者かと比べ、限界を許さない「親」の声を聞いています。
心の中の親の声は、自分の声のように聞こえます。
つまり、徹底的に否定されて育った子が、自分の考えと思っているものの大半は、親の考えです。
その意識はその子自身にはありません。
あくまでも、自分の考えだと思っています。
しかし、いつもモヤモヤとした不全感が拭えません。
そのモヤモヤは自分の人生を生きられないことによるものです。
モヤモヤとした不全感は、その子が肉体的に成長すると、生きづらさとなります。
生きづらさを抱えて生きることは、とてつもない重荷を背負って歩くことです。
心の中の声に応えて、その子は頑張るでしょう。
誰かに優越する為に、限界を超えて頑張るかも知れません。
しかし、その頑張りはいつか破綻します。
少年期かも青年期かも、或いは中年や壮年を迎えた時かも知れません。
心の中に、確かな「自分」という意識を育てることが出来なかった人は破綻します。
破綻しない為には、自分は心の中に「自分」が無い、と言うことに気づくしかないと思います。
心の中に「自分」を持たない人は、目に見える結果が全てになりがちです。
自分は存在を否定され続けて育ち、無価値感に苛まれているのですから、結果が優れていないと存在の危機なのです。
だから、周囲に優越することを求め、限界を超えても頑張るのです。
心の中の声に従って、です。
そうなると、自分を取り囲むあらゆる事の優先順位を見誤ります。
心の中に「自分」がある人ならば、他人に優越せずとも存在が脅かされる事は無く、他人に負けても、自分の価値とは無関係で、自分には変わらず価値があると感じます。
そして、「自分」が有るからこそ、これ以上は無理だ、という限界のラインもわかります。
「自分」が無いと、先にも述べました様に、優先順位を見誤る事が多いのです。
自分の心が破綻しようかと言う時に、仕事に固執したり、人間関係にしがみついたりする事があります。
勿論、人生に於いて、仕事も人間関係もとても大切な構成要素です。
しかし、心が危機を迎えたならば、話しは変わってきます。
なによりも、何をさて置いても、優先すべきは、壊れかけた「心」を守ること、です。
そして、心が壊れかけるほどの苦難は、幼い頃に育て損なった、心の中の「自分」を、育て直す時期が来た事を知らせる合図なのです。
「育て直し」は何歳からでも出来ます。
心は育ちたがっているのです。
読んで頂いてありがとうございます。
感謝です。
NAMIDAサポート協会カウンセラー
心の伴走者ノゾム