「自己評価」は「絶対評価」であるべき理由
幼い頃、兄弟達と比べられませんでしたか?
幼稚園、小学校、中学校と、クラスメートや同級生、色んな子と比べられませんでしたか?
大人になっても、営業成績もあれば出世競争もあります。
少なくとも私が見て来たこれまでの世の中は、
競う側面が、かなり強かった様に思います。
敗戦国、日本は瓦礫の中から目を見張るスピードで復興し、
その勢いのまま、高度経済成長期に突入。
右肩上がりに成長を遂げました。
世の中のそういった動きが、人の価値観を形づくることは言うまでもありません。
急速な発展、加熱する競争社会の中で生きる人々の価値観が、他者よりも優れることを目指す様になることは必然とも言えます。
右肩上がりの世の中には、他者と比べることで自己評価を下す相対評価が、
国として、家庭として、個人として、ある意味、相応しかったのかも知れません。
しかし、時は流れて、現在、我が国は様変わりしました。
バブル崩壊、リーマンショック、災害、原発事故、パンデミック等々を経験し、
停滞から衰退へと墜ちている様に思います。
世が移ろえば、私達個々人の自己評価の基準も変化することは至極自然なことでしょう。
しかしながら、これまで上を向いていた世の中が、
下を向いたかと思うや、凄い勢いで下り始めたのです。
人々の心の中にある価値観や自己評価の基準は、
急に下り始めた世の中に取り残されたカタチで、
未だ、相対評価に偏った基準で自己評価を下すことが少なく無い様に思うのです。
他者と比べて評価を下す相対評価は、鋭角的な上昇を描く稀有な右肩上がりの、特殊な状況にこそマッチしますが、
生き物として、人としての 心の在り方 としては、酷な尺度なのではないか、と思えてなりません。
なぜなら、人が自由に出来るのは、自分自身の心、だけです。
自己評価の尺度を相対評価にするということは、
最終的にコントロール不能な他者に自己評価を委ねるということに等しく、
安定した心の状態を長期に渡って保持することは、とても難しいと思われます。
人の一生といった長丁場で、安定した自己評価、つまり自分自身に安心感を持つには、
自分の価値は自分で決めることが求められると思うのです。
つまり、
その良し悪しは横に置いても、
これまで他者との競争で自己評価を決めて来た状況は、
稀に見る右肩上がりの短期的な舞台にこそ似合う訳ですが、
その舞台であっても、個々人の人生という長丁場における 心の安定、心の豊かさ、に目を移してみると、
そもそも論として、
自己評価は絶対評価であるべき、なのではないか、と思うのです。
機能不全家庭に生まれて、
自分の存在は他者との比較の中にしか無く、存在を尊重されることなど無い状況に育てば、
自然と自己評価の尺度は相対評価にならざるを得ません。
相対評価で自己評価が決まるということは、取り組む物事の成否が、そのまま自分の価値を決める、ということです。
結果が全て、ということです。
そこには、
よく頑張った、というプロセスに意味は無く、
取り組んだ物事に成功したか否か、
競う相手に優越したか否か、
それが、自己評価に直結する、ということです。
世が家庭をつくり、家庭が人をつくります。
世の中が競う世の中であるからこそ、その子が幼い数年間だけは、
家庭がその子の存在を尊重する場所であって欲しいと思いますが、
機能不全家庭は、それが欠けている家庭なのですから、叶うことはありません。
お話しをする中で「べき」という決めつけの表現は極力避ける様に心がけてはいるのですが、
競う世の中があり、
尊重しない家庭があり、
結果として、
自己評価を他者に委ね、
そのことが「生きづらさ」に繋がって、
長く苦しむ人が後を絶たない現実が有ると、
「自己評価」は「絶対評価」であるべき、
と思ってしまいます。
では、
社会によって、
家庭によって、
「生きづらさ」を抱えることになった人は、
軽やかに生きることは出来ないのでしょうか。
例え今は、苦しみの最中に居ても、
「生きづらさ」を手放すことは出来ます。
「生きづらさ」の正体は、かつて心に刻んでしまった、いわれのない「思い込み」です。
自分の評価を他者と比較することで、
ありのままの自分を尊重することを知らない親の元に生まれたことで、
心に刻まざるを得なかった、
単なる「思い込み」なのです。
「生きづらさ」を手放したいと願うなら、
単なる「思い込み」は、
いつでも、何歳であっても、
自分と向き合うことで、
書き換えることが出来ます。
自分の評価を自分で下すことが出来たなら、
社会がどう変わっても、
どんな相手と対峙しても、
大きな困難が立ちはだかっても、
価値有る自分は揺らぎません。
心には安心感があるのです。
読んで頂いてありがとうございます。
感謝致します。
NAMIDAサポート協会カウンセラー
伴走者ノゾム
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