【全文無料】SiM SiM 20TH ANNiVERSARY "20YEARS"@ぴあアリーナMM YOKOHAMA 2024.11.02(Sat)
SiM20周年、最後の日。
SiMの登場を今か今かと待つ観客。
すると会場の照明が明るいにも関わらず、一段と会場内BGMが大きくなり、何が始まるんだとざわつき始める場内。
ステージモニターに映し出されたのはSiM作成のスペシャルムービー。この20年間を振り返る動画のようだ。
結成からメンバーの脱退・加入、CD発売の年代、この2日間で出演してくれたバンドたちとの出会い、KiLLiNG MEのヒット、MAH(Vo.)の結婚……SiMの半生を描く動画に胸を打たれてしまう。
個人的には、2012年にやっとMAHがアルバイト無しで生活ができるようになったところにグッときた。
スペシャルムービーが終わると、いよいよ本日の主役、SiMの登場だ。
一曲目に選んだのは「JACK. B」。MAHだけにスポットライトがあたり、”I don't give a fuck…” と始まり、体を動かす準備ができた…かと思いきや、ストップをかけるMAH。何事か?と思えば "全然口が回らなかった(笑)" と苦笑して仕切りなおす。そんなMAHに観客は拍手や声援を投げかける。
そうして「JACK. B」(テイク2)からライブはスタート。これが一曲目かあ~!と予想外なパンチに面食らう。
二曲目は「ANTHEM」。SiMはシンガロングが楽しかったり美しかったり、そんな曲が多いが、この曲は個人的に5本の指に入るくらいシンガロングが気に入っている曲だ。それに、歌詞にSiMの自信が随所に盛り込まれているところも好きだ。
"20年やってるとさ、学生の時よくSiMのライブ行ってたとか、結婚したとかあるけど、俺らは何も変わってないから!お前らもあの時と同じようにかかって来いよ!"
かつてのキッズたちをそう鼓舞したのち、繰り出すのは「Set me free」。
会場で配布された「20周年イヤーズ」という冊子で、MAN WITH A MISSIONのジャン・ケン・ジョニー(Gt,Vo.)と山嵐のSATOSHI(Vo.)が好きな曲として選んだこのナンバー。もちろん観客の中にもファンは大勢いるだろう。
続いては、アルバム「Thank God, There Are Hundreds Of Ways To Kill Enemies」のターン。「CAPTAiN HOOK」ではSIN(Ba.)の一人ハーコーがステージ上で舞い、「SAND CASTLE」では久々にあっこゴリラが登場。SiMの周年パーティーに花を添えてくれた。
ここで、本日出演したバンドとの思い出を振り返る時間に入る。
"まずCrossfaith。15年前とか、Tatsu(Dr.)は制服でライブハウス来てたしね"
"唯一勝てないなと思ったバンド。同じやり方で曲に重さを出すのは無理だから、違うやり方で頑張ろうと思わせてくれた"
"山嵐は当時からCDを買っていて。調べたら地元が湘南で同じらしいと。当時山嵐がよくいたライブハウスに入り浸るようになった。"
"MAN WITH A MISSIONはトーキョータナカと仲良くさせてもらっていて、豪邸にも遊びに行かせてもらってたり…(笑) 今日もビールを1ケース持ってきてくれました"
本日参加した観客への感謝も忘れない。
"みんなも普段忙しいだろうけど、SiMが20周年なら行かなきゃだろう!と思って来てくれたことと思います。ありがとう!"
わぁっ…と拍手が巻き起こる。こうやってバンド仲間、先輩との昔話や裏話を聞くことができるのは、ファンとしてとても嬉しい。
拍手が止み会場が静かになる。すると裏からMAHにギターを手渡すスタッフが。おお!?と会場からも期待の声が上がる。
"俺、もともとギターボーカルだったんですよ。でも、練習が嫌いで。だからSHOW-HATEを入れて俺はギターを弾かないってなったんだけど、今日は本当に久しぶりに弾いてみようと思います"
そうしてギターボーカルのMAHとして歌い上げたのは「monochrome」。
実際の音源よりは少し物悲しく、孤独に寄り添う歌を奏でる。こんな時、MAHは何を思っているのだろうか。
少ししんみりとした空気をぶち壊したのは「Blah Blah Blah」。Crossfaithに対抗し、本物を見せてやるよ!と荒々しくライブを展開する。
そしてまさかまさかの「f.a.i.t.h」をここで繰り出す。袖からゆったりとCrossfaithのKoieとTeruが姿を現し…たと思いきやTeruの様子がいつもと違う。
なんとMAHコスをしていた。Teru a.k.a DJ KiLLiNG MEさんだ。
コメントを求められ、
"おい兄貴がもっと広がれって言ってるぞ!"
"いやコメント普通!"
と食い気味にツッコまれつつも3人で圧を強くしたどデカい「f.a.i.t.h」を披露し、アリーナの各ブロックも指定席も含め混沌の嵐に巻き込んだ。
ここで話は本日出演キャンセルとなったTHE ORAL CIGARETTESへ。
"正直俺は、オーラルが休止する必要はないと思ってる"
"でも、またやろうね!"
きっと本日オーラルが出演することを楽しみにしていた観客も多かったはず。MAHの温かい言葉に、会場のオーラルファンも嬉しくおもったことだろう。
次に各メンバーのターン。せっかくの周年イベント、みんなから一言もらおうとMAHがマイクを向ける。
MAH "まずはSHOW-HATEから"
SHOW-HATE "一つだけみんなに言いたいことがあるんですけど…特にないです"
MAH "間が悪いね、もう少し溜めてもよかったかもね(笑)"
メンバーへのいじりも欠かせない。
MAH "本当に何も言わなくていい?"
SHOW-HATE "じゃあ改めて…正直昔揉めてた時もあって、辞めようと思ったこともあったけど、結局このメンバーでは言いたいことを言いあえる仲になって。今は心の拠り所になってます、ありがとう。みんなも愛してます"
SHOW-HATEからの予想外の愛のある言葉に、驚くとともに胸が温かくなる。我々もSiMをめちゃくちゃ愛している。だからこそ、この2日間集結したのだ。
MAH "SINくん。どっちでもいいよ、こういうの苦手だから"
SIN "……特にないです!"
そうだろうと思っていたが、一言SINの声が聞けただけでも満足だ。
GODRi "俺は湘南出身でもないし、SiM20年もやってないけど!SiMが大好きでーす!"
GODRiがSiMへ加入した年は2009年(SINと同時期)。かつ兵庫県の姫路市出身なのでこの発言になった。
確かにMAH以外のメンバーにとっては、必ずしも自分たちの周年ではない。しかしSiMという一つの共同体として、祝い祝われしている様を見ると、年月など関係ないのだなと思わされる。
一通りメンバーからの一言をもらうと、MAHはこの日の物販対応についての謝罪をした。
物販のオペレーションが思うようにいかず、小雨振る中数時間待ちは当たり前、余裕を持ってきた人たちもトップバッターのCrossfaithを観られないという事態が発生していたようだった。
実際私も、8:30から並び始め、購入できたのは13:15だった。
(だからと言って運営やMAHさんに暴言を吐くのは違うぞ!話をするならば、「こういう形の方がよかったのではないか」など建設的な意見にしましょう…)
"これBlu-rayにする話もあるから、あまりカッコ悪いことは話したくないんだけど…JACK. Bも噛んじゃったしね、またやろうね。はいはい"
と、MAH節全開の観客あしらい型MCを展開し、舞台は「WHO'S NEXT」へと移行する。
今年のDEAD POP FESTiVALでも聴けたナンバー。やはりいつ聴いてもよい。
それに今回は、ステージモニターにMVの一部が流れ、少し感傷的な気分になってしまった。
「WHO'S NEXT」のMVが出たのは2013年の秋。この年私は高校生になり、初めてスマートフォンを親から買い与えてもらった。そして、好きなアーティストのMVを延々と観ていた。「WHO'S NEXT」もそのうちの一つ。
高校へ行く電車の中で、通信制限でガッビガビの画面を見つめながら、このMVを観ていたことは一生忘れない。(高校はスマホ持ち込み禁止だったけど)
"夢を一つ叶えても、次の夢を目指さなきゃいけなくて、くじけそうになる。でもライブをしている間はそんなことを忘れられるから、やっぱりライブが好き。そんな曲です"
「Dreaming Dreams」の前ではそんな前置きを挟んだ。この前置きにはこちらも堪えるものがある。
私は2011年にSiMと出会い、まだ中学生でライブも行けず、CDを借りたり買ったりしながらウォークマンに落として同じ曲を何度も聴くような生活をしていた。
そんな時分から応援しているバンドが、アニメとのタイアップなどでどんどんと大きくなり、またYouTubeの発達により海外リスナーも増え、一度は諦めた海外で名を馳せるという夢も叶えて、凄く凄く嬉しかった。
The Rumblingのヒットも、色んな友達に口うるさく話すくらい嬉しかった。
しかしそんな誰もが焦がれるような夢を叶えながらも、MAH自身は夢というものに何か葛藤を抱いていたんだなと思うと、無邪気に喜んでいた自分が果たして正解だったんだろうかという自問自答に陥る。
(もちろんきっと、応援されること自体は本人たちは嬉しく思ってくれているとは思うが)
そしてSiMの20年の物語は終わりを迎える。
"20年最後の日なら、これで終わろうと決めていた曲があります。今日はアンコールとか無しで、それを歌って終わらせてください"
"この曲をお前らに捧げ……ません。俺のために歌って帰ります"
子どものようににやっと笑みを浮かべながら、20年最後を飾る曲「Rum」を消え入るように、それでいて意志は固く響かせる。
バランスを崩しよろよろとした姿を見せるMAH。「Rum」を制作していたであろう2008年当時の彼の比喩だろうか。
「Rum」を満足気に歌い上げたMAH。
"ありがとう。20年やってこれて、こんだけの人が集まってくれることも幸せなんだけど…。何より今日の自分が!一番かっこいいってことが幸せです!"
なんともMAHらしい一言に会場は納得の拍手、そして賛辞を贈らざるを得ない。
私の後ろに座っていた青年が "かっけえ…"と呟いたことも合点がいく。
"全ロックバンドかかってこい!!ありがとう!!"
20周年続けてきた自信。逆境に打ち勝ってきた自信。そして、これだけのファンがいるという自信。
それらの自信から生まれるこの発言。説得力が頭いくつ分も突き抜けていた。
こんなに観客をいじりながらも、最後にはきっちり投げキッスとハートマークを送ってくれた。
20年間活動を続けてくれて、本当にありがとう、SiM。
<セットリスト>
JACK. B
ANTHEM
Set me free
CAPTAiN HOOK
SAND CASTLE - feat.あっこゴリラ
monochrome
Blah Blah Blah
f.a.i.t.h - feat.Koie, Teru a.k.a DJ KiLLiNG MEさん from Crossfaith
WHO'S NEXT
Dreaming Dreams
Rum
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