ペラペラの梁:ローバル社屋の見学にいってきました!
先日、挑戦的な建築:ローバル社屋について雑誌を読み、その感想をnote記事にしました。
すると、なんとローバル株式会社さんからコメントを頂き、それがご縁で、見学させてもらうことができました!
本当にありがとうございます!
今回は、その見学の報告をしようと思います。
会社について
ローバルとは?
まずは、その会社の製品:「ローバル」(鉄骨などに使用する塗料) について説明して頂きました。
どんな塗料かというと······
高い防錆性能
通常、雨ざらしの屋外階段など、鉄骨を錆びやすい箇所に使用する場合は、溶融亜鉛めっきという加工をして、腐食を防ぎます。これは、部材をめっき工場へ搬入して行う、とても大がかりな工程となります。
しかし、工場へ運び込まなくても、塗るだけで、溶融亜鉛めっきと同等の防錆性能が得られるというのが、塗料ローバルです。
特に亜鉛めっきの改修工事で使用されているようです。
塗布直後、塗布後3か月暴露したもの、のサンプルを見せて頂き、その原理や変化を教えて頂きました。
亜鉛が鉄より錆びやすいものであることを利用して、亜鉛が先に酸化して鉄の錆を防ぐこと。雨水などを遮断する塗膜によって防錆する他の塗料とは異なり、傷がついても錆が広がりにくいことなどを知りました。
変化する風合い
興味深かったのは、エイジングという性質です。
ローバルは、塗装後、少しずつ風合いが変化していきます。(性能が下がるわけではありません) その見た目の変化をよしとするか、好ましくないものとするかは、用途や施主の意向によるかと思います。対策として、変化が目立ちにくい製品もあるようです。
安藤忠雄の建築ような打ち放しコンクリートで、その経年変化を味とするような建物では、いつまでもピカピカの素材よりは、コンクリートと同じように経年変化する素材の方が、しっくりきます。
実際に、安藤忠雄建築研究所の作品で採用されているようでした。(大阪府立狭山池博物館ほか)
ローバル社屋では、ローバルを塗った門扉が、ビンテージ風といえばいいのか、味が出ていてかっこよかったです。
門扉の色が変化していく様子は、株式会社ローバルのnoteでも読むことができます。
鉄骨以外に塗ってもカッコいい!
また、最近は鉄骨以外のもの、内装や木下地のものに塗ることも多い、と教えてもらいました。
確かに、味のある感じのカッコいいグレーになります。
ただし、手すりや壁の低いところなど、人が触って皮脂がつく部分は、そこだけ色が変わってしまうので注意が必要とのことでした。
建築について
今回の目的は、その社屋の建築です。
概要を書くと
特徴は、なんといっても、厚さ16ミリ、高さ1.8m~3.0mのペラペラの鉄骨梁です。
座屈しないギリギリの応力で設計したという、構造設計者の記事を読んだのが、興味を持ったきっかけでした。(『建築技術』2023年12月号)
そして、施工者の記事を読むと、ペラペラの梁がゆえに、施工中、折れないように仮柱を設置したり、温度による変形に苦労したりと、死ぬほど大変だったようです。(『建築技術』2024年2月号)
さて実物は? と見に行くと・・・
居心地のいい、素敵な空間でした!
特に、お互いに支えあっている(レシプロカル)卍梁の隙間から見える天窓がかわいかったです↓
間仕切りとなっているこの鉄板も、誰も梁だとは思わないでしょう↓
雑誌記事によると、この梁が直射日光の温度でS字に曲がってしまったそうです。そして、造船のぎょう鉄会社に来てもらい、熱を入れ直して、修正してもらったそうです。
その時の工事写真も見せてもらいました。
ほかにも、工事の時のお話をいろいろと教えて頂きました。
お施主さんの立場から建築の話を聞くというのは、普段あまりないことで、貴重な機会でした。今から思えば、もっと使い心地や満足度などを聞いておけばよかったと後悔しています。
さいごに
今回は、株式会社ローバルの方々に、貴重な時間を頂き、本当に丁寧に対応して頂きました。
おかげさまで、とても有意義な時間を過ごすことができ、厚く感謝します。
また、会社の方の製品ローバルへの愛や、技術へのこだわりをすごく感じました。
それは、ローバル株式会社のオフィシャルnoteからも感じることができます。技術的な検証や実験なども載っていて、濃い記事ばかりです。自分もDIYでローバルを使ってみようかな?と思ってきます。
建築についても、常温亜鉛めっきローバルについても、新しいトビラが開いた見学会になりました!
本当にありがとうございました!