なぜ身体活動は重要視されるのか


誰もが一度は聞いたことがある「食事」、「睡眠」、「運動」の重要性。
だけど「運動」は「食事」や「睡眠」と比べて実感しにくい。
例えば、『一日食事しないと元気がでない』、
『空腹で集中できない』ことは想像つきやすい。
また、『一日寝ないと仕事が手につかない』ことも想像できる。

一日運動をしないとどうだろう?

「食事」や「睡眠」と違い、トレーニング習慣がない人は
「運動」の重要性を実感しないのではないか。

本当に運動すると身体に良いのか?

今回は厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド
2023」を基に解説していく。

推奨事項 <成人版>
・強度が3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上行う
ことを推奨する。具体的には、歩行又はそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行う事を推奨する(1日8000歩以上に相当)。
・強度が3メッツ以上の運動を週4メッツ・時以上行うことを
推奨する。具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を60分以上行うことを推奨する。
・筋力トレーニングを週2~3日行うことを推奨する(週4メッツ・時の運動に含めても良い)。
・座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなりすぎないように
注意する(立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないように身体を動かす)。

健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項成人版 001195866.pdf (mhlw.go.jp)


メッツ(METs)とは?


メッツとは、運動や身体活動の強度を示す単位のこと。
安静時(静かに座っているとき)のエネルギー消費量を基準に、
それに対し何倍のエネルギーを消費するか表す。
つまり、値が大きくなるほどキツイ活動ということ。

メッツの計算方法
時間当たりのメッツ = 身体活動の強度(METs)× 時間

つまり、普通歩行3METsを60分行えば
3METs × 1 = 時間当たりのメッツは3METs
これを合わせて週23METs・時が目標となる。

では、身体活動の強度(METs)の例は下の通り。
安静時のエネルギー消費量を1メッツとすると、
3メッツ未満の生活活動のメッツは以下のようになる。

「3メッツ未満の生活活動の例」厚生労働省 2023年8月版

3メッツ以上の生活活動は以下のような活動である。

「3メッツ以上の生活活動の例」 厚生労働省 2023年8月版

厚生労働省は活動を日常生活で行う家事や労働、通勤や通学に伴う「生活活動」と、健康維持を目的として定期的に実施される「運動」の2つに分類されている。
上の2つの表は「生活活動」におけるメッツの表である。
「運動」における3メッツ未満の生活活動のメッツは以下のようになる。

「3メッツ未満の運動の例」厚生労働省 2023年8月版

3メッツ以上の運動は以下のような活動である。

「3メッツ以上の運動の例」厚生労働省 2023年8月版


3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時行うのは難しいのか?

Aさんの1日のMETsを算出してみよう!
Aさんの主な生活活動は
・ 通勤(片道20分×2): 3METs × 0.67時間 = 2.01METs  
・ 家事(60分): 3.3METs × 1時間 = 3.3METs 
これを合計すると1日の総METsは 2.01 + 3.3 = 5.31METs
週5日出勤しているので出勤日だけで 5.31METs × 5日 = 26.55METsとなる。

これならできそう!
残りの休日2日で買い物がてら少し散歩すれば十分だ。
厚生労働省の推奨事項を初めて見たときは「うっ!」と思ったが、
実際に計算してみるとクリアできそうだった。
運動も同様に計算しすることができる。


では、本題に入ろう。

なぜ身体活動は重要視されるのか


生活習慣病の発症予防に効果のある身体活動の平均値が
週23メッツ・時であり、推奨値とされている。
同様に、生活習慣病の発症予防に効果のある運動量の平均値が
週4メッツ・時である。

健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項成人版 001195866.pdf (mhlw.go.jp)

世界保健機関(WHO)は、身体だけではんく「うつや不安の症状を軽減し、思考力、学習力、総合的な幸福感を高める」としている。
身体活動は『健康』だけではなく、幸福感にも作用する。


まとめ

身体活動は、健康を維持するために欠かせない要素である。
生活習慣病の発症予防や、総合的な幸福感の向上にも寄与する。
今回は挙げなかったが、心臓や血管の健康を保ち、体重を管理し、筋力や柔軟性を高め、さらには社会的なつながりも強化できる可能性があるものだ。

厚生労働省の推奨事項を基に、日常的な身体活動を意識することで、週23メッツ・時以上の身体活動を達成することは可能。
例えば、通勤や家事、休日の散歩などの小さな積み重ねで、健康的な生活を送るための基盤を築くことができる。

運動の重要性を理解し、実践することで、より健康で充実した生活を目指しましょう。


いいなと思ったら応援しよう!