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歴史感じる「倉敷美観地区」を移住×マーケティングの視点で見てみた

こんにちは。

夫の出張で2021年1月~5月まで岡山県倉敷市に短期移住しており、平日はコワーキングスペースやカフェで仕事、週末は街を散歩しています。

今回は、「倉敷美観地区」について、移住の体験とマーケティングの視点をからめて記事を書いてみたいと思います!

江戸時代から現代をつなぐ「岡山県倉敷市」の歴史

岡山県倉敷市は、岡山県の南部にある人口47.5万人の地域。水運が盛んな港町として栄え、江戸時代には徳川幕府の直轄領「天領」として商業が栄えた町だったり。明治時代には繊維産業の町、近年は工業都市、そして文化観光都市として発展してきました。

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こちらの写真は、白壁の建物や柳並木が美しい「倉敷美観地区」。倉敷駅から徒歩10分ほどの距離にあり、広さは約500m四方。真ん中にある倉敷川沿いにはベンチがあって、町並みや空を眺めたりできます。時折、鳥のさえずりが聞こえて、やわらかい風が吹いて、ぼーっとできる素敵な場所です。

「倉敷美観地区」の移住×マーケティングトレース

マーケティングトレースワークシート

今回は私の移住経験と共に、マーケティングの視点から「倉敷美観地区」を見てみたいと思います。

倉敷駅前は普通にコンビニやチェーン店があるのに「倉敷美観地区」は過去にタイムスリップしたような空間が広がっている。最初は、「映画のセットのような不思議な場所だなぁ~」という感覚がありました。

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この「倉敷美観地区」は、町並み保全の取り組みによって守られてきた場所なのです。保全活動は、1960年代から本格的に始まっています。

でも、当時の日本は高度経済成長期。車・クーラー・カラーテレビの3Cが普及し、高級マンションなどの無秩序な建築ラッシュが起こっていました。

そんな世の中の波に流されず、倉敷の町並みを保存しようと提唱したのが、大原總一郎さんです。大原美術館の創設者・大原孫三郎さんの長男にあたる方です。化学メーカー「クラレ」の元経営者でもあります。

總一郎さんの声かけによって、地域住民による町並み保存運動が始まりました。1968年(昭和43)年に「倉敷市伝統美観保存条例」が公布され、さらに1979年(昭和54)年には、国選定の「重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けるほどまで拡大していきます。

培ってきた伝統を生かし、新しい町を育てる

總一郎さんが保全活動に取り組むきっかけとなった場所が、ドイツのローデンブルクという町です。中世の美しい町並みを残しながら、生活する場所でもある。歴史が日常生活に溶け込み、そこに住む人と共存している。その姿にすごく感銘を受けたそうです。ローデンブルクは第2次世界大戦で大きな被害を受けてしまったそうですが、戦後、復興を遂げています。

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「倉敷を日本のローデンブルクにしよう」と理念を掲げ、文化的な遺産として後世に残す必要性を訴えていきました。

總一郎さんは、病気を患っていたこともあり、戦争の際に戦地に行けなくなったことで、戦争に対して強い贖罪意識を持っていたそうです。少しでも国に貢献しようと様々な活動をされていたので、町並みの保全もその一つかもしれません。(これはあくまで想像です。)

歴史的な町並みに触れることの価値

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業界競合は、「商業が栄えた歴史的な町並み×観光」というグループでまとめてみました。国内だと埼玉県川越市の小江戸「川越」と徳島県美馬市の「脇町・うだつの町並み」をピックアップしました。景観も美観地区に似ていますし、どちらも文化庁が定める重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

価値競合は、「歴史的な町並みに触れる」という価値でまとめました。京都や奈良など、全体的に歴史的景観が残っている地域もありますし、「日光江戸村」や「東映太秦映画村」のようなテーマパークとして歴史的な町並みを再現している場所もあります。また、VRやオンラインゲームなどの仮想空間の中で歴史的な町並みに触れることも可能になってきました。

年間328万人が訪れる岡山県No.1観光地

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2019年の岡山県観光客動態調査によると、倉敷美観地区の観光客数は年間328万人。現在は、閑散としているときもありますが、岡山県の中でもNo.1観光地となっています。

町を歩いていると、20代女性の友達グループをよく見かけ、歴史的な町並みを感じながら、買い物やカフェ巡りをしたい人が多いのかなと思いました。もちろん高齢者の方や、写真を撮りに来ている人もちらほら。

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こちらの写真は、倉敷美観地区の古民家カフェ「有鄰庵」です。以前、夜はゲストハウスとしても運営されていました。

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そこのメニューにある「しあわせプリン」は「食べてから2週間後に倉敷や有鄰庵での楽しかった記憶を思い出すと、幸せなことが起こる」ということで、若い女性に人気があり、SNSでも話題です。可愛いし、なめらかプリンで美味しいです。

日帰りで小京都が味わえる、観光特化型エリア

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ポジショニングは、「伝統建築・摸倣建築」「観光・ビジネス交流」という軸で置いてみました。倉敷美観地区は時代の流れの中で造られていった建築物を活用し、買い物や飲食など観光に特化したエリアだと思いました。

徳島県美馬市「脇町・うだつの町並み」はサテライトオフィスやコワーキングスペースなどもあり、仕事をしながら観光をしたり、地域との交流を育んだりすることができるようです。伝統建築とビジネス活用する点は面白いですね。

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4P分析で注目したいのは、「Price」と「Promotion」です。「Price」で言うと、美観地区にあるレストランは単価2千円~5千円、デニムショップは単価1万円~10万円とややお値段高めです。ターゲットも年齢層が高めに設定されているのかなと思います。「Promotion」は、SNSやWEBメディアが中心なのかな。あと、少し前になりますが、映画「るろうに剣心」シリーズ第一弾のロケ地だったりもするそうです。その他の映画やドラマの撮影地としても使われています。

【成功要因①】江戸~昭和が融合した町並みをサクッと観光できる

美観地区の良いところは歴史的町並みに浸りながら日帰りでサクッと観光できるところです。しかも、江戸時代の建物だけでなく、明治、大正、昭和とそれぞれの時代の建物が保存されているから驚きです。

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赤レンガの紡績工場跡を複合施設として再生した「倉敷アイビースクエア」は、明治時代の建造物です。

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また、観光案内所になっている木造洋風建築の「倉敷館」は大正時代の建物。2階は休憩所になっていて、美観地区の町並みが一望できます。

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エル・グレコやクロード・モネなどの名画がある「大原美術館」は昭和に建てられました。江戸~昭和の建造物が一つのエリアに集中しているのは、なかなか珍しいような気がします。

【成功要因②】美観地区を起点とした、他エリアへの観光プラン

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美観地区には、同じ倉敷市にある児島を想起させるデニムショップがあり、児島に行ってみたくなるような仕掛けがあります。観光パンフレットにも、美観地区だけでなく、児島や水島、玉島など色々なエリアの観光スポットを紹介しています。

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こちらは児島のジーンズストリートの写真。児島は国産ジーンズ発祥の町で、現在は、素材、染め、織り、縫製、仕上げ、加工まで高い技術を駆使したジーンズの産地として注目されているようです。

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こちらは鷲羽山からみた瀬戸大橋です。この場所に来て、倉敷が大好きになりました。

自分がCMOだったら・・・?

美観地区の地域住民のつながりや生活感をもっと表に出していきたいなと思います。美観地区に住む人の顔が見える観光マップとかあったら、声をかけやすくなるので、私のような移住者は嬉しいかも。

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美観地区にあるうどん屋に行ったときのことです。カウンターに座って食べていたら、勝手口からお醤油を持ったご近所さんが、「お待たせしてごめんね~」とうどん屋の店員さんに声をかけていました。

私はなんとなく「サザエさんとサブちゃんみたいな関係性だな」とすごく心が温かくなったのを覚えています。このうどん屋さんだけでなく、地域住民の方が集うカフェや、少し離れた場所にコワーキングスペースもあります。

日帰りで美観地区に来た人は、この良さがあまり伝わっていないかもしれません。短期間ですが、移住してみて少しずつわかってきた部分です。

さいごに、倉敷での生活に感謝を込めて・・・

今回は、私が体験した移住経験と共に、マーケティングの視点から「倉敷美観地区」を記事に書いてみました。書きたいことが色々ありすぎて、長文になり、写真も多くなってしまいました。

倉敷は美観地区含めて、素晴らしい場所がたくさんあります。「変わることと守ること。そして今に活かすこと。」そんなことを教えてくれた気がします。

倉敷で出会った景色、出会った人のことは忘れませんし、これからも長くお付き合いしていきたいです。それくらい本当に感謝しています。良い時間を過ごすことができました。

本当にありがとうございました。

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こちらの写真は倉敷で知り合いになった方に、瀬戸大橋架橋記念公園で撮っていただきました♪


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。



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