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Vol. 263 どこまでが幼稚園(保育園)の責任なのか

先日このような判決が出た。
いわゆる「ぶつかり事故」である。


2017年、岐阜県の幼稚園で園児と園児がぶつかり片方の園児が目に後遺症を負った。当時4才(年中クラス)だった子の親は「園側に安全配慮義務違反などがあったからだ」として訴訟を起こし26日、岐阜地裁は園に請求額と同額の2028万円の支払いを命じた。


これを読み咄嗟とっさに私の頭をよぎったのは

「園が可哀想」
「親の気持ちも分かる」

この相反する2つの感情だった。
私がこの子と同じ4才児の親だからかもしれない。

【園が可哀想】

園児のぶつかり事故なんぞは日常的に起こるものであり100%防ぐ事は出来ない。それを責任責任と言われ2028万円(全額)の支払いを求められたら全国の運営者が萎縮してしまう。結果、お産による訴訟リスクを恐れ産婦人科が激減したように、ただでさえ足りない保育施設がますます減り、保育士のなり手も減るだろう。親は自分の判断で預けているのだから集団生活のリスクは理解すべきである。それが嫌なら自宅保育しなさい。

【親の気持ちも分かる】

実は私の息子も2ヶ月前「ぶつかり事故」の被害者になった。園庭で遊んでいる際、走ってきた年長組の男児とぶつかり跳ね飛ばされたそうだ。おでこと頬に絆創膏を貼られた息子を見てギョッとしたし正直一瞬〝なんで⁉︎〟とは思った。幸い息子の場合は軽症だったため〝まぁそういう事もあるよね〟と理解したが、もし打ち所が悪くて死亡していたらどうだろう? 私には「自分が預けたんだから我慢しなさい」という自信が無い。


怪我をした当時の息子。
おでこと頬の絆創膏が痛々しい。


だがしかし、親としての感情を差し引いても尚、私はこの判決が間違っていると思う。

国が定める基準によると保育士の配置は
「子供30人に対し保育士1人」
である(※事故が起きた年中組の場合)。
この人数でどうして事故が防げると思うのか?
また、保育士の手取り給与は20万以下だ。
その給料で命を預かれと言うのか?

充分な補助は出さないが何かあったら100%園の責任。これではあまりに保育施設が可哀想すぎる。最近の保育施設での事故を見るとそのほとんどが人手不足によるものだ。もう少し余裕があったら・もう少し目が届いていたら…
現場の保育士もそう悔やむ瞬間が増えているのではないだろうか。

この状態が続くと保育施設は産婦人科状態になる。訴訟リスクを恐れ既存の病院はお産を止め・新規参入も無くなった。そして産婦人科医のなり手は極端に減った。これが未来の保育施設だ。

訴訟が増えれば支払う保険料も上がり、充分な人員を確保するためにはもっと利益を上げなくてはならなくなる。そのために経営は効率化され、その皺寄せは必ず園児にも行くだろう。

では今、何をすべきか?
それは児童福祉法の改正だ。
まずは保育士の配置基準を見直す。
もちろんそれに見合った補助も出す。
そして保育士の賃金の大幅な底上げをする。

私は再三この事をnoteに書いているが、国の総力を上げてこれに取り組まなければ日本は終わる。


目先のバラマキより未来への投資。
これが真の意味での少子化対策ではないですか、岸田さん。








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