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AI時代を乗りこなすクリエイティブ・シンキング/イベント参加レポ
先日、NewsPicks NewSchool主催、「NewSchool Lite」の中の講座に参加した。AI時代を乗りこなすクリエイティブ・シンキング というテーマで、講師は細田高広さん。
こちらの講座▼
参加のきっかけと講座概要
昨年に細田さんが書かれた「コンセプトの教科書」「未来は言葉でつくられる」の2冊を読んで以降、企画力や発想力が求められる業務ではまさに教科書のように何度も何度も開いた。その細田さんの講座、かつテーマがAI、クリエイティブシンキングということで、開催を知って速攻申し込みをして参加!
2時間半の講座。クリエイティブシンキングとは何か?という話から始まり、クリエイティブシンキングを実際に取り入れる時の具体的手法の解説、それを実際の業務・企画に応用するための繰り返しのワーク…と続き、最後はAIと共に生きる時代にどのようにAIを乗りこなしヒトの仕事の価値を見出していくのか?というメッセージで閉じた。
司会者の方もおっしゃっていたが、「ライト版?"ライト"とは…?」と思うほど濃い時間、何より良い意味で脳が疲弊する大満足の時間だった…。
ワークの詳細などは記載できないが、今回の講座にもコンセプトの教科書の中にもあった「問いを立てる力」についての学びを、振り返りも兼ねてまとめてみた。
「問い」の重要性
課題解決力というと、いかに論理立てて解決までの道筋を立てられるか?と考えがち。しかし、そもそも最初の「課題」の設定はそれで良いのか?と見直した時、もしかすると全く違う道筋が見えるかもしれない。また、もう手の打ちようがないと感じる場面でも、問いを設定し直すことで道が開くことがある。
問いを変えるとは
問いを変える例として、講座の中で紹介されたものがある。ご存知の方も多いと思うのでざっくりとまとめてみる。
【ヒューストンの空港】
ヒューストン空港では、乗客が手荷物の受け取りに長い待ち時間を強いられ、不満が高まっていた。そこで改善を重ねたが限界はありクレームは無くならない。そこで、手荷物受け取りまでに乗客が歩く距離を長くすることで、手荷物が出てくるまでの時間を変えることなく不満を減少させた。
つまり、「めっちゃ待たせるやん!怒」と思われていた時間をめっちゃ歩かせる時間に変えたということ。
そもそも「手荷物が出るまでの時間を短縮しなければならない」というスタート地点から始まった時点で限界があった。オペレーションの限界、物理的な限界、予算の限界などで打つ手がなくなってしまう。
手荷物を届けるまでの時間をどう短縮するか?
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乗客のストレスを軽減するには?
というように問いを見直した結果だという解説として紹介された。
似たような話で、遅すぎるエレベーター問題の紹介もあった。エレベーターが遅いというクレームに対して、「エレベーターの速度を上げる」という課題を設定してしまえば技術的な解決策の模索に終始してしまうし、速くできるとしても限界がある。
だから、エレベーターの中でニュースや占いを流したり、身だしなみを整えるための鏡を設置したりすることで解消した。エレベーターの『速度』ではなく、暇でストレスフルな『時間』に目を向けたといこと。
エレベータの速度を上げるには?
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暇で苦痛に感じさせないためには?
そもそも…から始める問いの再設定
ここからは講座の中であった話ではなく、講座を受講して考えたこと。つまり私個人の解釈の話だ。
普段行っている問いの立て直し
上記の例とは少し文脈が違うかもしれないが、実際の仕事の中でも「問いを立て直す」というシーン自体は決して珍しくない。
たとえば、クライアントから「ツールAからツールBへの移行を考えている」と相談を受けた場合を考えてみる。
表面的には「どのようにツールBへの移行を進めるか?」という課題に見えるかもしれないが、背景にある悩みを深掘りしていくと、そもそもツールを変えなくても解決可能な問題だった、というケースも珍しくない。このような場合、するべきことは「移行をどう進めるか?」という問いではなく、「ツールを変えたいと思う背景にある真の問題をどう解決するか?」という問いを立て直すこと。小さな事例ではあるが、これも「問い」が解決策の質を変える一例と言えると思う。
仕事でこのようなケースは多いし、自分の経験や知識からセンサーが働き「そもそもその問いが間違っているのでは?」と疑うことができる。
新たなものを生み出すときは?
しかし、新しいサービスや商品を生み出す時の問いの立て直しは少し話が違う。自分の経験や既存のデータだけを振り返っても、そこにヒントはあれど答えは無い。また、既存の情報を分析して論理的に立てられる問いからは、既に誰かがなぞった問いしか生まれづらい。「新しい」に繋がらないのだ。やけにお利口な問いになっちゃう。
だからヒューストンの空港や遅いエレベーター問題の例にあったように、そもそも…と事態を捉え直して問いを再設定し、お利口な問いから離れる必要がある。
その時、論理的思考は弊害になることすらある。なんでもロジカルロジカル言うとったら新しいものは生まれないということ。
問いの立て直しは「横にずらす」イメージ
講座の中で、論理的に思考することがツリーを下に降りていくイメージであるのに対し、問いを立て直すことは起点をどんどん横にズラしていくイメージとの説明があり、とてもしっくり来た。
講座の中ではそのズラし方の具体的な手法の話もあった。そこはあまり詳細に書けない都合でふんわりした触れ方になるが、横にズラして考えるために生まれ持ったユーモアが必要だとか、天才アイデアマンでなくてはいけないということはなく、日々の思考のトレーニングで得られるものらしい。
「問いを設定する力」は、課題解決だけでなく、日々の意思決定や新たな価値を生み出す際にも欠かせないもの。得た学びを、仕事や日常でしっかり機能させたいな。まだまだ頭がカチコチで習得しました!とは言えないが、確かにトレーニングを積むことで頭の使い方のバリエーションが増えるようなイメージは持つことができた。だから今後の自分に乞うご期待、ということで…。
講座内の内容なので書けない、と書きましたが、コンセプトの教科書にもフレームワークがたくさん載っているので興味のある方には本当におすすめです。今日もお疲れ様でした!