【日記】失った文章が戻るなら、10万円払ってもいいと思うほど焦った話。
インタビュア&ライターなまず美紀です。
この土日は、金曜日にインタビューしたA社のお話を、自宅のデスクやカフェで、コツコツと文章にしておりました。
本日も娘(11)とランチをして、そのままカフェで作業へ。文房具フェチの娘が「ロフト見てくる♡30分後に戻るね!」とカフェから離れたので、私は6000字弱の原稿を「残すは小見出しのみ」という状態まで完成し、ホッとして束の間の読書タイム。
「さあ、娘が戻ってくる前に、小見出しと最終チェック」と思ってPCを開くと、原稿がない。
どこを探してもない。
焦る。
明日もB社の「防潮堤」の取材が入っている。
だからA社の原稿は今日中に仕上げて、これから「防潮堤」の勉強をしないといけない。
金曜日にB社と打ち合わせをして、その後、「週末に資料を読み込んでもらわないといけないので、申し訳ないですが」と大量の資料が送られてきている。だから先にA社の原稿をコツコツとがんばったのに。
何が起きたかは、わかる。私のミスだ。
私は望みを持って、いつもの救世主に電話した。
救世主とは、渋谷のパソコンドクターP社だ。
PC関連で困ったら、自分であれこれするの時間がもったいなくて(なぜかスケジュールがタイトな時に問題が起きる)、すぐに頼ってしまう。
お兄さんたち、優しいし。
「こういう理由で消えたデータ、復旧できますか?」
と焦りながらも、あえて落ち着いた声で言ってみる。
「とりあえず持ってきてください」
と言われ、ロフトにいる娘に電話する。
「緊急事態で、すぐに渋谷に行きたいから、早く戻ってきて」
渋谷の雑居ビルに到着する。
エレベーターが降りてくるのがやたらと遅く、階段でパソコンドクターC社がある3階に駆け上がる。
「お願い、助けてもらえますように」。
10万円でデータが今すぐ戻るなら、私はクレジットカードを切っても良いと思った。
「それぐらい、私のこの2日の労力と時間にお金を払ってもいい」と思うぐらい、「同じ作業をゼロからもう一度」と言われたら、失神しそうだった。
P社のドアはガラス張りで、階段を登り切った瞬間、オフィス内のお兄さんと目が合う。焦っているのがバレたと思う。
お兄さんはとても優しい。
助かるか助からないかにかかわらず、親身になって話を聞いてくれ、冷静に説明してくれ、同情もしてくれる。
私は前回、ここでPCが起動しない問題を一瞬で治してもらって、感動しながら店を出て、
「こんな彼氏が家にいる彼女の安心感たるや、どんなもんだろう」
と妄想しながら帰宅した。
気の毒がるお兄さんを前に、私はふと、あることを試してみたくなった。
PCをいじると、いろんな幸運が重なって、
「失ったデータは取り返せないけれど、私が書いた文章はある程度、ある場所に残っている」ことが判明した。
目の前のお兄さんには言い出せない。
「あきらめます。お時間いただいて、すみませんでした。ありがとうございました」と、残念そうに頭を下げ、申し訳なさそうに見送ってくれるお兄さんの視線を後頭部に感じながら、そそくさと店を出る。
あーーーーーよかった!
神様、ありがとう。
家に到着するまでに、その文章が消えてしまうのが怖くて、途中のカフェで原稿を仕上げて納品する。
本当によかった。
10万円も助かった(誰もそんなに請求してないけど)。
残りの時間で「防潮堤」の勉強をして、明日は「防潮堤」の取材に専念できる。
しばらくP社に駆け込まなくて良いように、色々気をつけようと思う。
私に振り回されたみんな(私を含む)
おつかれ様でした。
結局、今日も良い日だった。
おやすみなさい。