ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険LⅩⅨ

「次の1週間は、先生方は3人がかりでデクの運転を教えてくれました。講習は極めて実践的なもので、まず教わったのは、“高い枝から落ちた時の立て直しかた”でありました。『デクは丈夫だから地面まで落ちても壊れないけれど、人間は気を失ったり、鞭打ちになったりするから、途中で木にしがみついて止まる必要がある。コウメさんが実演してくれるから、よく見ているんだ』。シダー氏がそう言って林冠を指さしますと、角無しのヤコが一体、梢に停まっているのが見えました」

「シダー村長が手を上げますと、コウメ姫が乗ったヤコが木の天辺から真逆さまに飛び降りました。落ちながら背部の幹から命綱を繰り出し、枝に巻き付けてぶら下がりました。ヤコは振り子のようにゆらゆらと揺れ、勢いをつけて近くの幹に取りつきました。四本の足をがっちりと樹に食い込ませますと、枝に巻いていた命綱をほどき、素早くデク本体に引き込んで片付けました。『さあ、ガリバー男爵もやってみよう』」(続)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?