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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険ⅩⅩⅩⅤ

「そのあとは非常にスムーズでありました。シダー氏が木片を見せると、出会う兵士は皆にこやかな表情になり、ゲートの場所を教えてくれたのでした。誘導に従っていきますと、『門三』と大きく書かれた扉にたどり着きました」

「扉の前にはデクに乗った騎士が立っておりました。シダー氏が挨拶し、木片を渡しますと、騎士も挨拶を返して木片を受け取り、門の横に突き出した瘤に当てました。すると大きな音を立てて、扉が上下に開いたのでありました。村長氏が木片を返されると、私たちは騎士に会釈して樹の中に入りました」

「扉の向こうは、大きな空洞になっておりました。北辺の村のデク厩舎よりも遥かに大きく、広間の隅には都の騎士が乗る四つ脚のデクが10体ほど並んでおりました。イヅナが停まると、歩いてくる人が見えました。袖の長い、厚手の服を着た中年の男性でありました」

「シダー氏が両手を組み、彼らの作法において畏まった姿勢で挨拶すると、出迎えた男性もうやうやしく挨拶を返しました。『北辺の長よ、よくぞお出でなさりました』と出迎えた男性が言うと、村長氏も『我らが王への忠誠を示す機会を得ました。道中の下賜、かたじけなく存じます』と返しました。都の役人と思われる男性は『忠義と感謝の言葉、本官からもしかと奏じましょう。さあこちらへ。我らが王は早速のお目見えを望んでおられます』と言い、私たち3人を連れて樹の内側へと歩き始めたのでありました」(続)

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