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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険LⅦ

「『ガリバー卿は仲間と共に船というものを操り、この大地の周囲に広がる海の、更に先からやって来た。彼らは火を使い、人をたやすく弑する道具も持っているという。彼らの世界にデクはないそうだが、しかしそれでも、これほどのことを成せるということの意味を諸君らは理解できると思う』と王は研究員たちに話しました。『我々とは全く異なる考え方を取り入れることが必要なのだ。いつかガリバー卿の世界と、我々の世界が出会った時、友好的な関係といかなくとも、少なくとも互いに攻めず、奪い合わないでいるためには、相手を理解することが必要だ』と王が話を続けると、研究員たちは拍手で賛意を示したのでありました」

「王は『ありがとう』と言って拍手を収めてから、わたくしに向き直りました。『さて、卿の世界について詳しく教えてもらいたいのだ。まずは船について知りたい。説明だけでなく、絵にも描いてもらえないだろうか。我々が船を深く理解し、何らかの方法で再現することができれば、卿が元の世界に還る公算も大きくなるのだが』と話す王に、わたくしには『微力を尽くします』としか答えようがありませんでした」(続)

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