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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険ⅩⅩⅩⅩⅧ

「王が散会を宣言して部屋の奥に去っていきますと、家臣たちは姿勢を崩して互いに談笑し、思い思いに部屋を出ていきました。私たち三人は役人に案内されて、足早に割り当てられた部屋に戻りました」

「談話室に入りますと、すでに給仕の人々が昼食をならべはじめておりました。スープやイモを使った焼き物、栗やそのほかの木の実を使った炒め物などといった料理がテーブルに置かれていきました。前日の夕食とこの日の朝食の、ちょうど中間ほどの量でありました」

「配膳が終わりますと、老執事が深く頭を下げました。そうして『お食事前に失礼いたします。午前中のご歓談が長引きましたので、午後の再開を半どき遅らせるとの指示がございましたので、ご了承ください』と言い、再び頭を下げました。そうして給仕の人びとを連れて部屋を出ていきました」

「私たち3人はゆったりと食事をとりました。北辺の村では昼食はとらなかったことを思い出して2人に話すと、タデ氏が『中央では3回食事をとる習慣がひろまっているようだ。私たちの村やその周りではそういったことはなかったのだが、もしかしたらこれから、広まっていくかもしれないね』と話してくれました。食事を終え、スキュウレを談話室に放って戯れておりますと、役人が迎えにやってきました」(続)

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