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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険LⅩⅪ

「それから3日間、わたくしはタデ先生に後ろに乗ってもらい、特訓を続けました。内容は離れた枝と枝の間を跳んで渡る技術、デクにとりつかれた時に逃げ出す方法、脚をなくしたり、弱っている状態で移動するやり方、などでありました」

「いずれもはじめにシダー村長とコウメ姫が手本を見せてくれるのですが、わたくしにはサーカスの軽業のように見えました。できるようには全く思えなかったのですが、タデ先生の指示に合わせて両手を動かしますと、ヤコは易々とその通りに動くのでありました」

「4日目は運転の練習はなく、“気をつけるべき野生のデク”について、私たち3人がコウメ姫から習いました。わたくしは特訓を乗りきった達成感に浸りながら、姫が手ずから描いたと思われる可愛らしいデクの絵を見ておりました。頼もしい若者二人が同行してくれるし、何よりタデ先生が後ろに乗ってくれるならば、きっと大丈夫だろう。そんな油断があったのです」

「座学を終えると、タデ先生がうなずいて言いました。『男爵殿、これだけ詳しく教えてもらえたなら、私が帰った後も安心ですな。引き続き訓練に励み、出発に備えなされよ』わたくしは先生の言葉に、すっかり青くなったのでありました」(続)

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