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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険LⅩⅩI

「しばらく景色に見惚れておりますと、先頭のヤコが口を開け、コウメ姫が顔を出しました。『そろそろ行きましょう。今日中に3つの村を越える予定なのですから』。そう言ってデクの口を閉じると、前肢を上げて合図しました。後ろに続くデクたちを確認すると、水面のように広がる林冠の枝を跳び移り、大山脈の方向に渡っていきます。わたくしも急いで後を追いました」

「今回の旅の目的地は、王都と大山脈の間に位置する塩水湖、そしてそのほとりにあるデク研究所でありました。北辺の村から王都までの三分の一ほどの距離を、二週間ほどかけて行く予定です」

「初めに旅程を聞いた時、デクの運転に不慣れなわたくしのために余裕のある日程を組んでくれたのかと思いましたが、そうではありませんでした。三機のヤコは隊列を作り、木々の上を進んでいきます。初日が暮れて目的の宿営地にたどり着いた時には、わたくしはすっかり疲れきっておりました」(続)

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