
ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険ⅩⅩⅩⅢ
「気候が変わるとイヅナがバテやすいようだ、少しペースを落とそう、などと2人は話していましたが、わたくしにはさほど大きな変化は感じられませんでした。温帯林に入った後も順調に南下を続け、出発からひと月ほど経ちました」
「よく晴れた日でした。それまでと同様に小屋を出発し、そろそろ昼の休憩時間になるかという頃、シダー氏が『あれを』と言って進行方向の遥か先を指さしました」
「指の先を見やりますと、森の中から大きな山が突き出しているようでありました。『あれが都だ。このまま行けば、夕方までに着きそうだ』と村長が話しました」
「少しずつ近づいていきますと、一本一本が一つの集落と同じか、あるいはもっと大きいかという大木が何本も集まり、塊のように見えたことがわかりました。さらに近づくと、大木同士も太い蔦で互いに繋がりあっていることがわかりました。そうして木々の間をひっきりなしにデクが走り回っておりました」(続)