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ガリバー "法螺吹き" 男爵の冒険LⅡ

「紙の包みを引き剥がすと、中からウエスが巻かれたフリントロック銃と弾薬袋、そして羅針盤が転がり出てきました。銃は当時、シュタインマイスター社から発売されたばかりの軽量小型仕様器で、弾込めにかかる時間が大幅に短縮され、射撃をした時に起こる反動や弾着地点のブレが軽減されているというふれ込みでした。数発は撃ったのでしょうがほぼ新品で、よく手入れされた姿のままでありました」

「小さな羅針盤は丈夫な箱に収められており、装飾のない簡素なものでした。愛蔵品ではなく、いざというための備えとして、一緒に保管していたようでした」

「王にこれらの道具について尋ねられ、わたくしはまず羅針盤について説明しました。常に決まった方角を指し続ける道具で、特に慣れない土地を行く時に重要な手がかりになると説明しました。また、見渡す限り水平線しかない外洋の大海原を行く時には羅針盤だけが頼りになるのだと話すと、人びとはざわめきながら聞いておりました」(続)


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