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ラブレットピアス
夏くらいにラブレットピアスを開けた。
いつ開けたか明確じゃないけど、仕事をがんばったご褒美にと思ったから多分かなり忙しかったのが一旦落ち着き出したあたりだと思う。いつだっけ。
がんばったこととか、自分にとってのおまじないは無くしたり消えたりして欲しくないから、ピアスやタトゥーに込めるようにしている。
(指輪とかはすぐなくなるから。落とします。秒で。ネックレスも秒で引きちぎります。)
元々軟骨ピアスもあけていたし、おへそもピアスがあったし、タトゥーも入っていたから、うちのママは「も〜やめてよ〜」といいつつ「あれ?なんだかんだかわいいね!」ってなるタイプだと思っていた。
ラブレットピアスに関しては違った。
開けて半年くらいは経つはずだけど、会うたび「これ外せ」と言ってくる。
笑って誤魔化すしかない。絶対外さない。
はじめてラブレットピアスを認識したのはクリープハイプを好きになった18歳のとき。
ベースの長谷川カオナシのピアスに衝撃をうけた。
「こんなところにピアス開けられるんだ。痛そうだな...」←完全に弱者である(かわいい)
ただその頃いわゆる〝女の子らしい〟服装をしていたので、到底似合わずクリープハイプの音楽を聴くにとどまった。
月日は流れ27歳。
もうこの頃にはギリ坊主ではないかな?くらいのスパイキーショートもしてたし、刈り上げられるだけ刈り上げていたし、眉毛も脱色していたから眉なしハイトーンネキになっていた。
もうやりたい色はないくらい色んなヘアカラーをやった。
タトゥーを入れる時もそうだけど、自分が痛い思いをしたり消せないものを体に残すたびに、生きてるなあと思ったり、強くなった気持ちになれた。
27歳の夏。
着々と心が壊れていっていた。
まただ!知ってるぞこの感じ!
家に帰ると喋れないくらい疲れて倒れてしまう。
ご飯を食べられない。すぐ涙が出る。
希死念慮がすごい。外に出られない。
前にも増して音や光、人混みが苦手になった。
人って3ヶ月の間は、アドレナリンでどんな状況でも耐えられるけど、それが切れるとプツンと壊れてしまうらしい。
レッドブルをほぼ毎日飲んでいた自分としては納得の結果である。
それを変えたい!変わりたい!元気になりたい!
小学生のとき読んだなんかの少女漫画にピアッサーの音は「運命が変わる音だ」ってセリフがあったぞ!
よ〜し!ラブレットあけちゃおう!
思い立ったら即行動。
よこたに勧められていたピアススタジオを予約した。
矯正中だから矯正の先生にも「ラブレットピアスあけてもいいですか?」と確認もした。(真面目だね)
ニードルだったから、運命が変わる音はしなかったけれどぶっ刺さってるところを見て、アドレナリンがドバドバ出た。
うれしーーー!やっちゃったーーー!♪
これで電車で変なおじさんとかに絡まれたり、おばさんに椅子から引き摺り下ろされたりしないぞーーー!!!!
最早、完全に厨二病である。
というか3行前から読み直して欲しい。
変なひとに遭遇する率が高すぎる。
狂った街、広島。
自分が厨二病なことより問題である。
その後すぐ会ったのんちゃんも「いいねいいね〜」って言ってくれたし、完全にその日は有頂天だった。
(けど自分がピアスを開けに行ったせいで行きたかったイベントのお店がほぼ閉まっていた。ごめんね!)
そんな感じでラブレットピアスを開けたけど、何にも運命は変わらなかった。
当たり前すぎる結果だった。
気持ちを切り替えるきっかけをもらったのに変わることができなかった自分に嫌気がさす。
結局仕事を休んでいる、いい加減にしてほしい。
ラブレットを開けたあと行った、大大大好きなたかうらさんの小田原のイベントで「ピアス開けたんだね!」って言われて、「そ!誰にも舐められないようにね!」って言ったけど本意じゃなかった。
自分を守るため、律するためにあけたんだよが正解だった。
誠実に生きたかったし、かわいいと思われたいとかいう感情も捨てたかった。
自分は1人で大丈夫という決意表明だったんだ、ということにたかうらさんと会話した時気づいた。
けど、「いやほんとはさ、」って話すのも野暮だし、その事実をハイボールで流し込んで、ヘラヘラ笑っていた。
酔えば全部忘れるし、悲しくなくなるという思考がまだ自分にあったことを知った。(いい加減にしろ!)
結局どんどんひどくなってパニック障害と診断されて、乗り物にも乗れなくなって1人で外に出られなくなってしまった。
あの夏、運命が変わるはずだったのに、だ。(くそったれ!!!!!)
だけどちょっとずつ、自分にかけたおまじないに恥じない自分になるために頑張りたい。
18歳の自分に衝撃をくれた長谷川カオナシのラブレットを、18歳の時から何にも変われていない、ただラブレットをあけただけの自分が見に行くことができたのは、11月16日のクリープハイプ15周年のライブの日だった。
あの日のクリープハイプ、痺れたな〜
11月16日のことはまた今度。
おしまい。