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聴かなくなった曲
土曜日、彼と久しぶりに居酒屋に行った。
最近は飲み歩くことも減って繁華街を歩くこと自体が久しぶりだったので、少しそわそわした。
軽く食べて2軒目で銀だこに行った。
こないだSPECを見てから〝さっぱりおろし天つゆねぎたこ〟が頭から離れなかったから。
私も食べたかったけれどお腹がいっぱいでひとつも食べられなかった。
お会計の時にジャンカラの20%オフ券をもらったので1時間だけカラオケに行った。
彼と付き合って5年目?になると思うけれど、はじめてカラオケに一緒に行った。
人前で歌うのが苦手だから、これまでもかなり仲良い友達としか行くこともなく、大人数での飲み会の後のカラオケって始発までの時間潰しというか、中だるみの時間になりやすいからそれならタクシーでさっさと帰りたい、と思っていたこともあってかなり久しぶりだった。
歌うの照れくさいかな、と思ったけれどそんなこともなかったし、よく考えたらマイクを通さなければ家の中でも車の中でも歌っていたんだったと思い出した。
そのあと帰り道にあるお店に彼の友達がいるか覗いたらちょうどいたので、少しだけお酒を飲んだ。
この間ベロベロに酔っ払った時に居合わせた人もいたので、しっかりしっかり謝った。
笑って許してくれて救われた。
この1週間ずっとモヤモヤしていて、夢に出てきたりしていたから直接謝ることができてすっきりした。
だけど結局、この時もグラスを倒してしまった。
酔っ払ってないのに倒すならもうだめだわと思った。
どうしたらいいんだろう。
いつも肘や袖と机や物の距離を測れず、倒したりこぼしたりしてしまう。
グラスの下に吸盤とかつけておいてほしい。
そしてなぜかみんなでカラオケに行くことに。
気づいたらなんだか大人数になっていた。
同じお店に数時間越しに舞い戻る。
画面に映し出される曲がかつてよく聴いていたバンドばかりで懐かしくなった。
この曲に強く共感していたな、とか思い出して今はその気持ちになれないこともそんなに聴かなくなってしまったこともちょっぴり切なかった。
結局朝まで歌い続けた。
前回ベロベロになって失敗したので、みんなのグラスを見ながら空いてる飲み物を頼み、酔ってる人のために水を頼み、声をかけ、とりあえず接待の時くらい周りを見ながら過ごした。
何とか挽回したい、という気持ちから〝下座に座る新入社員〟みたいになっていた。
ほんとうにいつぶりかわからないオール。
途中から眠すぎて頭痛がしはじめて「あーもう歳だな」と思った。
というか20代前半の時もみんなとカラオケ行っても2時くらいから爆睡しているタイプだったので、むしろ大健闘だったかもしれない。
新入社員モードだったので「寝るなんて許されない」と思っていた。
先輩の酒には最後まで付き合うをモットーにして20代前半を生きてきた成果が発揮された。
私は男友達もいないし、大学生にもなったことがないから〝定番の飲みコール〟とかをあまり知らないのもあって彼の友達たちが盛り上げてくれる場がすごく新鮮だった。
(飲みコールを知らないとは言ったけれど、内輪ネタのものならいくらでもある。ライブハウスというかバンドマン仕込みと言ってもいい)
イメージしていた大学生飲みのまんまで、大学生ってやっぱり楽しそうだな、と思った。
カラオケのお会計をして酔いが辛そうなメンバーは解散して、タクシーに乗せて見送った。
そのあと私の彼と彼の友達と3人で、朝まであいている中華料理屋さんに行った。
私はそこのマヨネーズラーメンが大好き。
広島のひとならマヨネーズラーメン、そして朝まであいてると聞いたら「あーあのお店か」となるくらい有名だと思う。
飲みの後のラーメンって本当に美味しい。
次の日顔がむくむくになるけどそんなのはどうでもいい。
普段から韓国の辛い麺とかもマヨネーズかけるために食べているので、こんなにダイレクトにマヨネーズを感じられる食べ物があると知った時は感動した。
はじめて連れてきてもらったときは確か忘年会のあとで、大人数でお店にやってきたと思う。
美容師さんやアパレル関係のひと、飲食店のひとなどなどおしゃれなお兄さんお姉さんに囲まれながら初めてのマヨネーズラーメンを食べた。
朝まで楽しく遊ぶこととか広島の美味しいお店とか、よく考えたら年上の面白い人たちに教えてもらい続けていたなと思い返す。
優しい年上のひとに許されながらお酒や飲みの場を勉強させてもらっていたことに感謝をした。
許してくれない人が1人でもいたら、殴られたりしてもおかしくない酔い方をしたことだってあったと思う。(やめなね)
結局6時くらいに家に帰って、ベランダに出た。
まだ暗くて、空気が冷たかった。
身体のタバコ臭さが際立つ。
朝方に睡眠薬などの薬を飲んだから結局15時くらいまで眠ってしまった。
日曜日がなくなってしまった感覚。
ちょっと勿体無いけれどたまにはいいか。
普段しないことをしたから、それから2日経つのにまだ身体がだるい。
朝まで起きていられても回復に時間がかかるのはやっぱり歳だからかもしれない。
改めて酔っ払って誰かにヘイトをふっかけたりしなくてよかったな、記憶も全部あるし、吐いてもないし、という低レベルな安心材料を集めて安堵する。
思い返して恥ずかしくなるようなことはもう何も起こしたくない。
いい大人になりたい。
おしまい。