テストを語らんとする者はまずテストを解け
昨日の朝日朝刊に、新井紀子先生のコラムが載っていました。テーマは大学入学共通テスト(最近この話題ばかり取り上げている気がするな…)。
新井先生は、現在のセンター試験に疑問点はあるとしつつ、2次試験と合わせ「世界一丁寧な入試」と評価しています。対して新入試実施に向けた一連の取り組みについては「出口の見えない改革」であり、「一部の『有識者』の思考実験の玩具」や「政治のキャンペーンの手段」にならないようにと警鐘を鳴らしていました(すごい表現だな…)
で、私が気になったのは朝日新聞というか、マスコミの教育報道への叱咤激励(不満?)の部分でした。
社会の公器としての大学入試が、一部の「有識者」の思考実験の玩具にも、政治のキャンペーンの手段にもならないよう、メディアのしっかりとしたチェックを期待したい。くれぐれも両論併記のインタビューでお茶を濁したりしないように。
(新井紀子のメディア私評「大学入試の新テスト 実現可能性・公平性、真摯に検討を」2019.1.16朝日新聞)
日本の教育についてメディアもしっかりとした信念・主張を持つべき、ということですかね。
プレテストを報じる朝日新聞の論調を見ていると、国語には熱がこもるのに、数学と理科は予備校のコメント頼み。世界で理数系教育の重視が言われる中、誠に不可解だ。ぜひ朝日新聞社会部教育班のみなさんには、「自ら考え行動する力」を発揮して、センター入試、プレテストともにチャレンジしていただきたい。
(新井紀子のメディア私評「大学入試の新テスト 実現可能性・公平性、真摯に検討を」2019.1.16朝日新聞)
これを記者の皆さんはどう受け取ったのか気になります。
私たち教材屋は、日頃から原稿整理や校正のプロセスで実際に問題を解きますし、センター試験のようなメジャーな入試は、直接教材に使用する・しないは抜きにして解くようにしています。今後の「大学入試改革」の流れを追いかけるためにもプレテストも解きます…が、私は理系科目についてはノータッチ。解けないから。新井先生に叱られますね…(そもそも理系入試のあり方について語れるとも思っていませんけど)
ともあれ、テストを語るのであれば、主催者・有識者の解説を読むだけでなく、きちんと実物に向き合いましょうということには全く異論ありません。
追伸:
昨年11月のプレテストについて、新井先生は国語は理数系に比べて易しかったという評価をされていましたが、果たしてそうなのかな…というのが私の感想です。発表された平均点は国語も低かったし、古文については「源氏物語=読みやすい」とは言い切れません。このあたり、もう少し自分の中で分析を深めねばなりませんがとりあえず。